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医師・医療関係者のみなさまへ

調査委員会だより No.68

府医ニュース

2020年6月3日 第2930号

在宅看取りがやりやすくなった要因について
文 岩本 伸一(東成区)

 令和2年1月に行った在宅医療に関する会員意見調査の結果を基に、在宅医療に取り組む医師が増えていることを本紙第2927号で報告した。今回は「在宅看取りがやりやすくなった要因」について報告する。
 在宅医療を行っている医師の中で、「以前より在宅看取りがやりやすくなった」と回答したのは38.1%、「変わらない」46.8%、「やりにくくなった」4.3%であった。全体的には看取り環境はやや改善しているようである。その要因を問うてみたところ、最も大きいと考えられたのが訪問看護のスキルであった。「患者側の在宅医療への理解や啓発」「訪問介護のスキル」「ケアマネジャーのスキル」「後方支援体制」「在宅医療の研修の充実」「行政のバックアップ」などの要因が良くなったとの回答が30~40%前後であったにもかかわらず、訪問看護のスキルが良くなったと評価した医師は61.2%と明らかに多かった。在宅看取りにおいては、訪問看護の仕事内容が医師への負担をかなり左右するものと考えられる。
 関連質問への回答として、「特定の訪問看護ステーションにお願いしたい、お願いしている」が全体の42.1%と「特定のケアマネにお願いしたい、お願いしている」37.7%に比べやや多く、医師側もスキルのある訪問看護ステーションを選別する方向にあるのかもしれない。今後、訪問看護の更なるスキルアップとともに、他職種のレベルアップも期待したいところではある。
 なお、自由回答欄において目を引いたのが「病院の在宅医療への理解」や「メディアによる住民への周知」であった。これらについても更に進めていく必要がある。