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医師・医療関係者のみなさまへ

東淀川区医師会 認知症講演会

府医ニュース

2020年6月3日 第2930号

「もしも」の時に備えて

 東淀川区医師会(赤井啓二会長)は2月8日午後、同区民センターで「認知症講演会」を開催。2題の講演が行われ、近隣住民ら約250人が訪れた。
 はじめに赤井・同区医師会長があいさつ。感染が拡大している新型コロナウイルス感染症に触れ、マスクの着用および手洗いなどの予防対策が重要と指摘。その上で、認知症にも「対策」が必要であり、本日の講演が「もしもの時」の備えになればと述べた。
 講演では、はじめに辻正純氏(同区医師会副会長)が、「認知症におけるかかりつけ医の役割」と題して話題提供。かかりつけ医の定義を説明する中で、「最も身近で信頼できるお医者さん」だと紹介し、医療機関連携や在宅医療、認知症診療などの機能を担っているとした。次いで、認知症の中核症状と行動・心理症状(BPSD)を解説。認知症のケアでは、「本人の気持ちに寄り添う対応が大切」と加えた。また、認知症はありふれた疾患であり、「誰にでも起こり得る」と強調。早期に発見し治療につなげることがかかりつけ医の役割であり、「相性のいいかかりつけ医を持ってほしい」と呼びかけた。
 引き続き、佐藤亮氏(司法書士さとうE&Gオフィス代表司法書士)より、「これだけはやっておこう! 認知症と財産管理――あなたと家族が安心して迎えるために」と題する講演が行われた。まず、後見人制度について触れ、「法定後見となる前に行動することが望ましい」との見解を提示。自らの意思表示が可能なうちに遺言などで生前の意向を示すことが重要だと述べた。その後、佐藤氏自身が関わった案件を紹介。遺言書では「付言」として、財産分与の理由や遺志を伝えることができるとし、同項の活用を促した。最後に、遺産金額が少なくても争いは起こっているとの観点から、「早い段階から備えておくことが大事」と結んだ。