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医師・医療関係者のみなさまへ

時事 

増える「例外的取扱い」「代用」

府医ニュース

2020年5月6日 第2927号

感染対策物資の不足を受け

 新型コロナウイルス感染症の拡大により、感染対策に必要な物資の不足が深刻化し、厚生労働省から〝例外的取扱い〟に関する事務連絡が連続して発出されている。
 4月10日、「N95マスク」について▽エアロゾル発生手技(気管内吸引、気管内挿管、下気道検体採取等)時以外はサージカルマスクを適切に使用▽滅菌器活用や5日間サイクルによる再利用に努める▽有効期限にかかわらず利用▽複数患者を診察する場合に継続して使用▽名前を記載し交換は1日1回▽KN95マスクも活用するよう努める――ことが示された。
 4月14日には「サージカルマスク」に関し、使用機会に優先順位を設け、複数患者の診察・検査の場合、同一マスクを継続使用することとした。「長袖ガウン」は、使用機会に優先順位を設けること、コホーティング(集団隔離)された複数患者の診察・検査の場合、同一ガウンの継続使用を検討することとし、カッパなどで代替可とした。「ゴーグルおよびフェイスシールド」は、複数患者の診察の場合、同一物を継続して使用、使い捨てのものも適切な洗浄・消毒により再利用することとし、シュノーケリングマスクなどで代替可とした。
 4月21日には「人工呼吸器の単回使用構成品」について、緊急的に再使用することは差し支えないとした。ただし、他疾患の患者に使用しないよう留意、未使用品と区分して保管し、再使用であることを患者等に説明するとした。
 これらの流れの中、4月14日には、大阪市の松井一郎市長が医療現場のために雨がっぱの寄付を呼びかける事態となった。大阪大学医学部附属病院は、ポリ袋から感染対策用ガウンの代用品を作る方法を4月16日に、不織布とキムタオルから医療機関向けマスクを作る方法を23日にネットで公開している。4月20日には、豊中市の職員が体育館で、市立豊中病院で用いる代替ガウン作りを始めたことが報じられた。
 クリアファイルを流用してのフェイスシールドの自作は、もはや医療現場では一般的になった。大阪大学大学院医学研究科が、3Dプリンターで出力可能なデータの無料配付を始め、電子機器メーカーがそのデータを活用してフレームを作成し、医療従事者に無料提供を行うなど、ユニークな取り組みも行われている。
 消毒に関しては、4月22日更新の「新型コロナウイルスに関するQ&A(医療機関・検査機関の方向け)」において、70%以上のエタノールが入手困難な場合には、60%台のものを使用しても差し支えないとされた。ちなみに、次亜塩素酸ナトリウムとは異なり、電気分解で作られる次亜塩素酸水については、現時点で手指消毒での有効性は確認されていない。
 介護分野では、全国老人福祉施設協議会が「感染防護用品がなくても身を守るために」と題して、マスク、ガウン、手袋、フェイスシールド・ゴーグルがない場合の再利用や代用品での対応を、ウェブサイトで公開している。
 まさに〝非常時〟である。ここでも、発想や行動の切り替えが求められている。(学)