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医師・医療関係者のみなさまへ

全国医師会勤務医部会連絡協議会 山形で開催

府医ニュース

2019年12月18日 第2913号

勤務医部会活動報告
府医勤務医部会副部会長 中島 康夫

 令和元年度全国医師会勤務医部会連絡協議会が10月26日、「待ったなしの働き方改革――勤務医の立場から」をメインテーマに、山形市で開催された。
 横倉義武・日本医師会長(今村聡・日医副会長代読)、中目千之・山形県医師会長のあいさつ、来賓祝辞の後、特別講演「日本医師会の医療政策」を今村・日医副会長が述べられた。各論では、▽医師会の役割▽明るい健康長寿社会に向けて▽かかりつけ医機能の更なる定着▽医療のイノベーション▽医師の働き方改革――について講演された。次に、「複眼的にものをみる」と題して嘉山孝正・山形大学医学部参与が特別講演。嘉山氏は現代日本社会の規制緩和に向けた流れを、慎重に扱うべしとしている。とりわけ医療分野では情報の非対称性が存在するため、市場原理による均衡状態は実現せず、自由な個人の選択は必ずしも最適解とはならないと述べた。続いて、日医勤務医委員会報告が泉良平委員長よりなされた。
 午後のシンポジウム①「勤務医の働き方改革」では4人の演者の講演があった。間中英夫・山形県医師会常任理事による、山形県における勤務環境に関する調査報告の中で、若手医師の年休取得ゼロの方が30%もあった。次に、「医師の働き方改革の方向性」と題して加藤琢磨・厚生労働省医政局医事課室長が講演された。加藤氏は出席者中、希少な厚生官僚であるため、後のディスカッションの際、424再編対象病院の話題を筆頭に厳しい質問が浴びせられた。3番手として栗谷義樹・山形県酒田市病院機構理事長が登壇された。タイトルは、「病院運営と働き方改革――現場の懸念」であった。栗谷氏は、行き過ぎたコンプライアンスは組織(病院)を疲弊させ、働き方改革倒産すら懸念される、と述べられた。4番手は木戸道子・日赤医療センター産婦人科部長が、「チームで支え合う働き方を目指して――誰もが活躍できるために」と題して講演された。同センター産婦人科で導入された医師の交代勤務制について、長所(時間外労働の軽減)、短所(手取り給与の減少等)を述べられた。
 今回の連絡協議会の目新しいテーマとして、「生涯現役――勤務医定年後の明るい未来」がシンポジウム②で取り上げられた。4番手までの演者は、色々な切り口から、定年後の勤務医が医療を続けることを社会が求めていると述べられた。これを受けて佐藤慎哉・山形大学医学部附属病院副病院長が、同大学が提供する「リフレッシュ医学教育」を紹介された。その目的は、定年を迎えた経験豊富な医師に自らの専門性に縛られず、一般医として医師不足に悩む地域医療に貢献していただくためとのこと。最後に「やまがた宣言」が採択された。

―やまがた宣言―

〇必要医師数のみならず、2036年には医師の地域偏在と診療科偏在問題も是正できるよう求める。
〇医師の働き方については、勤務環境により時間外労働に上限が設定されるが、その他の要因も含めて継続して議論する。
〇経験を積んだ定年後の医師が活躍できる医療環境の構築を求める。