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時事

第80回社会保障審議会介護保険部会開催

府医ニュース

2019年9月18日 第2904号

給付と負担の見直しなどの議論開始

 厚生労働省は8月29日、社会保障審議会(厚労相の諮問機関)の介護保険部会を開き、給付と負担の在り方を見直す議論を始めた。すなわち、①被保険者・受給者範囲では、高齢化に伴い、介護費用の総額も制度創設時から約3倍の11.7兆円(令和元年度予算ベース)になるとともに保険料の全国平均は6千円弱となっている。高齢化の更なる進展に伴い、保険料水準の上昇が見込まれる状況にある。介護保険の保険料負担者である40歳以上人口は2020年代初頭から減少し、40歳以上人口に占める40歳以上64歳以下人口の割合は徐々に低下していくこととなり、令和2年に53.8%、7年に53.1%、17年に49.7%となることが見込まれる。今後の人口構成の変化、介護保険制度創設時の考え方や、これまでの議論の経緯を踏まえ、被保険者・受給者の範囲について、どのように考えるか。特に、「介護保険制度の普遍化」を目指すべきか、「高齢者の介護保険」を維持すべきか。
 ②補足給付に関する給付の在り方では、制度発足時の介護保険においては、介護保険三施設(特別養護老人ホーム、介護老人保健施設、介護療養型医療施設)およびショートステイにおいて、居住費・食費が給付に含まれていた。平成17年改定により、在宅の方との公平性等の観点から、これらのサービスの居住費、食費を給付の対象外とした。26年改定においては、経過的かつ低所得者対策としての性格をもつ補足給付について、公平性の確保の観点から、見直しを行ったが、更に見直す点はあるか。28年に引き続き検討することが必要とされた不動産の勘案についてはどのように考えるか。
 ③介護老人保健施設、介護療養型医療施設、介護医療院等における多床室の室料負担の在り方について、在宅で暮らす方との公平性の観点や、過去の経緯、それぞれの施設の機能、介護療養型医療施設の経過措置期限等を踏まえ、どのように考えるか。
 ④ケアマネジメントに関する給付の在り方は、利用者負担について賛成、反対の両方の意見が続いており、自立支援・重度化防止の実現に向けた質の高いケアマネジメントの実現等の観点を踏まえ、どのように考えるか。
 ⑤軽度者への生活援助サービス等に関する給付の在り方と、⑥医療保険における自己負担額の上限額を踏まえた高額介護サービス費の在り方をどのように考えるか。更に、⑦制度の施行状況を踏まえ、「現役並み所得」、「一定以上所得」の判断基準と負担割合についてどのように考えるか。そして、⑧介護保険創設時の議論、その後の議論の経緯等を踏まえ現金給付についてどのように考えるか。
 以上の8項目の課題について検討を行い、年末までに取りまとめを目指すが、日本医師会常任理事である江澤和彦委員を中心とした日医の努力に期待したい。(中)