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医師・医療関係者のみなさまへ

郡市区等医師会長協議会で松川参院議員

府医ニュース

2019年8月7日 第2900号

国際情勢について特別講演

 大阪府医師会は郡市区等医師会長協議会を7月18日午後、大阪市内のホテルで開催。茂松茂人会長によるあいさつ、郡市区等医師会新会長紹介、府医からの報告事項や連絡事項などの案件に続いて、松川るい・参議院議員による特別講演が行われた。

「医療崩壊」が起こりかねない

 あいさつを行った茂松会長は「骨太の方針2019」に言及。医療費や介護費に大きな影響を及ぼす75歳以上の高齢者の人口増加率が、2019年度から2021年度の3年間は終戦直後の人口減の影響で低く抑えられるとし、この機会に先の対応を考えて、体制を整えるべきであるとした。
 更に、団塊の世代が75歳以上の後期高齢者に達する2022年から2025年の4年間の社会保障費の自然増が、現時点で3.3兆円(年8250億円)と見込まれており、過去3年と同様に社会保障費の自然増を毎年5千億円程度に抑えたとしても、必要となる4年間の抑制額は1.3兆円(年3250億円)となると説明。これは5年間で1.1兆円(年2200億円)の自然増の抑制を行った小泉政権時代を上回る厳しい抑制額になるとし、「医療崩壊」が起こりかねないとの危機感を表明。政治力をもって、財源の使い方を我々から国に提言していかねばならないと力説した。

かかりつけ医は登録制に馴染まない

 6月25日付け日経新聞の1面に「厚生労働省は患者が自分のかかりつけ医を任意で登録する制度の検討を始めた。診察料を月単位の定額として過剰な医療の提供を抑えたり、かかりつけ医以外を受診する場合は負担を上乗せして大病院の利用を減らしたりする案を検討する」との記事が掲載されたことに言及。厚生労働省は否定しているものの、登録制を進める方針であることに変わりはなく、そうした国の方針をこれまで日本医師会が抑えてきたと強調。今後も、かかりつけ医については、本来の機能を持たせながら、登録制には馴染まないことを訴えていかねばならないとした。

G20における医療提供大きな混乱なく終了

 報告事項では、6月23日開催の第145回日医定例代議員会の概要について報告。連絡事項では、プレミアム付商品券事業の件、毎月勤労統計調査「第二種事業所調査」「特別調査」協力依頼の件、本会創立72周年記念行事および令和元年度健老会開催の件、「日本医師会最高優功賞受賞記念大阪府医師会長賞」被表彰団体推薦依頼の件などについて各担当理事よりそれぞれ説明された。また、その他として、鍬方安行理事より、6月28日・29日に大阪市住之江区のインテックス大阪において開催されたG20大阪サミットにおける医療提供について、大きな混乱は発生しなかったと報告されるとともに、会員医療機関の協力に対して謝辞が述べられた。

朝鮮半島との付き合い方について解説

 続いて、茂松会長が座長を務め、松川氏が「朝鮮半島との付き合い方(日韓・北朝鮮問題)」をテーマに特別講演。外務省において、インテリジェンス部門の首席事務官として朝鮮半島や中国の情勢分析を担当、また、在韓大参事官、日中韓協力事務局次長(ソウル)として日中韓協力を推進した経歴をベースに、いわゆる徴用工問題や、フッ化水素などを包括輸出許可制度の対象から外した問題などについて、これまでの歴史を踏まえながら解説を行った。