TO DOCTOR
医師・医療関係者のみなさまへ

調査委員会だより No.54

府医ニュース

2019年4月3日 第2888号

人生の最終段階における医療に関する府民アンケート④
――積極的安楽死に府民半数超が賛成
  鈴木 隆一郎

 この欄でご報告する結果は、調査した私達も驚くような結果でした。なんと府民の57.3%が「積極的安楽死」に「賛成」と回答していたのです。質問そのものと、年齢階層別の回答結果とを図示しました。すべての年齢層で半数超が「賛成」と回答しています。なお、ご覧のように、この質問には、積極的安楽死について「苦痛から逃れさせるため意図的・積極的に死を招く措置をとること」との注がついていることにもご留意ください。
 この注は、日本医師会「医師の職業倫理指針第3版」(平成28年10月)の29ページにある「積極的安楽死」の解説に準拠しています。そこには、東海大学安楽死事件の横浜地裁判決(7年)で示された安楽死の3分類が、括弧内に示した解説を付して紹介されています。すなわち、消極的安楽死(苦しむのを長引かせないため、延命治療を中止して死期を早める不作為の死)、間接的安楽死(苦痛を除去・緩和するための措置で、それが同時に死を早める可能性がある治療型の死)、積極的安楽死(苦痛から免れさせるため意図的、積極的に死を招く措置をとり死に至らしめる行為)がこれです。また、「医師は積極的安楽死に加担すべきでない」ともあり、世界医師会の同趣旨の宣言にも言及されています。
 積極的安楽死に賛成した府民の皆様は、このようなことをご存じと考えてよいのでしょうか? 次回は当調査の中でその答えを検討してみます。