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医師・医療関係者のみなさまへ

在宅医療・介護連携相談窓口研修会

府医ニュース

2019年2月6日 第2882号

地区の状況把握し次の段階へ

 大阪府医師会は、「平成30年度大阪府在宅医療総合支援事業」を受託。その一環として、「在宅医療・介護連携相談窓口研修会」を30年12月21日午後、府医会館で開催した。同研修会では、会員のほか在宅医療推進コーディネータや在宅医療・介護に携わる多職種など約80人が参加。在宅医療・介護連携に先進的に取り組んでいる地区からの報告を参考に意見を交わした。

 当日は林正則氏(府医介護・高齢者福祉委員会委員)が座長を務め、最初に宮川松剛理事があいさつ。当初は、「大阪府在宅医療推進事業」として在宅医療推進コーディネータの育成等に取り組んでいたものの、同事業の終結に伴い「形を変えて実施するもの」と前置き。各地区の実情を把握した上で、医療・介護連携を推進することが肝要であり、「現状を十分に認識して次につなげたい」と述べた。
 この日は「各地域における在宅医療・介護連携推進に関する取り組みについて」をテーマに、4地区から報告がなされた。はじめに、錦織法子氏(都島区在宅医療・介護連携相談支援室コーディネーター)が、「入退院支援の課題解決に向けた取り組み――入院時からの協働と連携の見える化について」として、同区内の高度急性期病院の退院カンファレンスに参画した経緯を紹介。アンケート等の結果から、意思決定支援が重要と判断し、まずは病院と患者側との「通訳」に努めたと述べた。あわせて、本人の意思を尊重し、退院から在宅療養につなげた実例を報告。多職種が支える様子を「見える化」することで、受け皿としての気運も上昇したと結んだ。
 次いで、「東淀川区における在宅医療・介護連携推進に関する取り組み――どのように多職種連携をつくってきたか」を主題に、岡部登志男氏(東淀川区医師会理事)および中畠ひとみ氏(同区在宅医療・介護連携相談支援室コーディネーター)が発表。同区内の病院が在宅医療連携拠点事業を受託したことを契機に在宅関連事業に先進的に取り組んだ背景や、在宅医療・介護連携相談室の状況を述べた。また、アンケート調査から、「医師との連携が取りにくい」との課題が浮き彫りとなり、その解消に向けて研修会や多職種連携のための会合を積極的に開催していることが示された。
 続いて、「東成区における在宅医療・介護連携の取り組み」と題して黒田和子氏(同区在宅医療・介護連携相談支援室)が講演。医師会と区が連携し、在宅医療・介護が推進されている様子が述べられた。また支援室の相談内容等から「バックベッド」を充実させる必要があったと言及。病院からの協力を得て空床状況や対応可能な診療内容が把握できるシステムを構築したと加えた。更に在宅医療の推進では支援検討チームが集まり、「好結果につながっている」と指摘。今後も「顔の見える関係づくりに努める」とまとめた。
 最後に乾京子氏(東大阪市在宅医療・介護連携支援コーディネーター)が、「東大阪市における在宅医療・介護連携推進に関する取り組み」を報告。同市では1つの行政に対し、布施・河内・枚岡の3医師会が独立して存続しているため、「連携した取り組み」が重要な要素であったと振り返った。その後、3医師会における在宅医療推進事業を説明しつつ、現在は在宅医療・介護連携相談の窓口を統一したと強調。各医師会の在宅医療推進コーディネータが対応し、相談者の住所地によりそれぞれの医師会へ連絡している模様が示された。
 その後、演者らが壇上に並び、全体討論を実施。フロアも交えて意見を交換した。