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時事

第26回医師需給分科会開催

府医ニュース

2019年1月30日 第2881号

外来医療機能の偏在への具体的対応を議論

 厚生労働省の医療従事者の需給に関する検討会・第26回医師需給分科会が平成30年12月26日に開催され、外来医療機能の偏在への具体的対応について検討した。無床診療所の開業が都市部に偏っていることへの対応として、情報の可視化・提供に加え、外来医療機能に関する協議をどのように行うかとの課題が提出された。
 都市部では、人口あたり診療所医師数が多い傾向にあり、人口あたり診療所医師数が増えるほど、診療所あたりの患者数が少なくなる。対応方針として、まずは、地域にどのような医療機能が不足しているか、地域ごとに可視化した上で、外来医師多数区域においては、地域に必要とされる医療機能を担ってもらう必要がある。そのため、協議を行ってもなお、外来医師多数区域で診療所を新規開業する場合においては、在宅医療、救急医療、公衆衛生等の機能を担うよう求めることとする案が出された。医師の専門や経験に関わるため、研修医を含む若手医師への情報提供も必要と考える。すなわち、都市部で内科医師多数区域にもかかわらず、呼吸器内科や血液内科を担当する医師が不足、あるいは不在の地域も存在する。
 これまで、医療計画においては、疾病または事業ごとの医療資源・医療連携等に関する現状の把握等のPDCAサイクルの推進の対象として、5疾病・5事業および在宅医療を対象としてきた。このような医療提供体制について、今後、それぞれの診療所(外来医療機能)がどのような役割を担い、地域全体として外来医療提供体制を構築していくか、地域で検討・協議していく必要がある。近年、高齢者救急搬送の件数は増加しており、特に軽症・中等症が多い。訪問診療の件数が増加しており、在宅医療は地域医療構想の実現においても重要などの背景があり、特に初期救急医療や在宅医療に関して協議が必要との方針が示された。
 そして、外来医療に関する協議の場の設置や外来医師多数区域における新規開業について、必要な外来機能を担うよう求めたときの実効性を確保する仕組みが必要との論点に基づいて、対応案が示された。▽新規開業者に対し、届け出様式を入手する機会を捉え、外来医師多数区域であることと、医療計画に定めている方針を提供し、新規開設者の届け出様式に、地域で定める不足医療機能を担うことを合意する旨を記載する欄を設け、協議の場で確認できるようにすることとする▽合意欄への記載が無いなど、新規開設者等が地域の外来医療提供方針に従わない場合には、臨時の協議の場への出席要請を行うこととする▽臨時の協議の場において、協議の場の主な構成員と、出席要請を受けた当該新規開業者で、話し合いの場を持ち、その協議結果を公表することとする――。厚労省担当者は開業制限でないことを明確化したとのことであるが、医師会は会員への情報提供を含めて関与し、協議の場の中心となる必要がある。
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