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医師・医療関係者のみなさまへ

あすか会総会

府医ニュース

2018年12月5日 第2876号

広域協力体制づくりなど協議

 平成30年度あすか会総会が11月10日夕刻、大阪市内で開催された。同会は、大阪府南河内地域の医師会(羽曳野市・藤井寺市・大阪狭山市・富田林・河内長野市・松原市)および八尾市・柏原市医師会で構成。今年度は松原市医師会が主務幹事を務めた。
 開会にあたり上野憲司・同市医師会長があいさつ。同会では、これまでも地域包括ケアシステムに関する検討や各医師会の取り組みなどの発表を行ってきたが、単一市町村・医師会でのサービス提供では困難な側面があると言及。このため、地域包括ケアシステムの広域協力体制づくりに関するシンポジウムを企画したと述べ、活発な議論に期待を寄せた。
 第一部では、茂松茂人・大阪府医師会長が、「最近の医療情勢について」と題して基調講演した。まず、法人税率の引き下げ等で、企業の内部留保が増加している一方、賃金・世帯収入は伸び悩んでいると指摘。このような状況下で社会保障費を抑制する国の姿勢を憂慮し、「国民に理解を促し、ともに行動したい」とした。更に、適切な医療政策の実現には政治力の強化が不可欠と訴え、一層の協力を呼びかけた。
 第二部では、大畑和弘氏(羽曳野市)・山鳥忠宏氏(藤井寺市)・藤江博氏(柏原市)・吉田裕彦氏(八尾市)・今井真氏(大阪狭山市)・坂口隆啓氏(富田林)・宮﨑浩氏(河内長野市)・李利彦氏(松原市)――が登壇。「地域包括ケアシステム『広域協力体制づくりに向けて』」をテーマにシンポジウムを実施した。地域包括ケアシステムの構築に向け、様々な意見が出される中、上野・松原市医師会長が、今後の課題を整理。情報共有システム、退院支援やACP(アドバンス・ケア・プランニング)、研修会の共同開催などが提示された。意見交換では、▽退院時にかかりつけ医の意向が考慮されていない▽一部のサービス付き高齢者向け住宅での不適切運営が問題▽広域協力体制では、画一的なマニュアルよりも、困難事例の共有化が有効▽死の準備教育などの啓発が必要――などが寄せられ、引き続き、同会で議論を深めたいとした。