TO DOCTOR
医師・医療関係者のみなさまへ

平成30年度第1回 主治医意見書作成に関する説明会

府医ニュース

2018年10月31日 第2872号

「特記すべき事項」具体的記載を呼びかけ

 平成30年度第1回「主治医意見書作成に関する説明会」(大阪府医師会・大阪府・大阪市主催)が10月6日午後、府医会館で開催され、約480人の参加者が研鑽を積んだ。同説明会は、大阪府・大阪市主治医(医師)意見書作成事業に位置付けられ、府医が受託団体として実務を担う。
 司会・座長は黒田研二氏(府医介護・高齢者福祉委員会委員長)が務め、はじめに中尾正俊副会長があいさつ。介護にかかる手間を公平・校正に審査する上で、介護認定審査会では認定調査員の特記事項と主治医意見書が重視されると指摘。講演内容が主治医意見書作成の一助となるよう期待を込めた。また、府医では、患者および療養者のための地域医療構想・地域包括ケアシステムの構築を目指していると言及。更なる理解と協力を促した。
 続いて、鹿島洋一氏(同委員会委員/新仁会病院長)が、「主治医意見書記入の留意点」と題して講演を行った。鹿島氏は、介護認定審査会での二次判定において、特記事項や主治医意見書から、申請者特有の「介護の手間」を読み取ることができなければ、一次判定の変更はできないと前置き。主治医意見書の重要性を重ねて強調するとともに、記載にかかる留意点について詳細に説明した。また、審査件数が増加している現状に触れ、「特記すべき事項」では、「認定審査員が、2分間で患者のADLと生活環境を正しく想像できる記載内容」が望ましいと言及。医学的な意見等を具体的に記載するよう呼びかけた。
 その後、行政の担当者が解説。山本千賀子氏(大阪府福祉部高齢介護室介護支援課利用者支援グループ課長補佐)が、「介護保険制度における主治医意見書の役割」と題して、大阪府の介護行政の現状と課題を示した。幡山理恵氏(大阪市福祉局高齢者施策部介護保険課担当係長)は、「要介護認定における審査判定について」として、申請からの流れを詳細に説明した。

向精神薬(睡眠薬)処方の注意点を解説

 最後に、「在宅医療における向精神薬(睡眠薬)処方の注意点――主治医意見書において」として、吉田祥氏(大阪精神科診療所協会理事/吉田診療所院長)が登壇した。吉田氏は、向精神薬の多剤併用に関する診療報酬改定の動きを概説。睡眠薬や向精神薬の使用にかかる規定は、今後も厳しくなると見通した。このため、処方前に睡眠薬使用の必要性を検討すること、処方後の効果・副作用の確認が一層求められるとした。また、ベンゾジアゼピン系薬剤の使用ついては、減薬・中止を常に意識してほしいと注意喚起した。その上で、不眠症治療における非薬物療法の有効性を改めて強調。睡眠日誌や刺激コントロール法などの行動療法を紹介した。