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私と内科専門医

府医ニュース

2018年10月17日 第2871号

 認定内科医番号104、内科専門医(現在総合内科専門医)認定番号473が日本内科学会から認定された番号です。医師免許を取得して40年以上経過した今も、勤務医を続けながら認定更新を継続しています。取得したのは内科医になって11年目でしたが、番号が比較的小さい数字です。当時は一部の大学病院や研修病院を除いては認知度が低く、申請者が少なかったようです。受験資格のためには、受け持ち症例50例(内科9分野で各分野数例ずつ)、転科し外科的治療症例5例、剖検症例5例および学会・医学雑誌に発表した臨床研究・症例報告2編が必要でした。試験は1日かけて行われ、全体点数だけでなく、各分野すべてで基準値を上回らなければ合格しませんでした。研修症例については、当時勤務していた大学病院の症例では不足する分野があり、内科研修を受けた大阪市内の病院(現在も研修医に人気の病院)に通い、以前の入院カルテを見ながら研修記録を作成したものでした。当時はワープロもなく自筆で作成しました。後日通知された研修記録評価は、すべての分野でA判定でした。内科専門医に認定されてから内科専門医会セミナーに時々参加し、また受験者の研修記録の査読や試験監督を務めた時期もありました。一方、その後異動で勤務した病院では内科学会教育病院の申請にも携わりましたが、一番のハードルは剖検数でした。現在は緩和されましたが、教育病院に指定されるためには、年間20体の剖検数を2年連続で達成することが条件でした。病理の先生のご尽力と内科各主治医の頑張りで指定を受けられましたが、その後も剖検数を維持するのに気が気ではありませんでした。
 画像診断などの検査で診断は以前より向上しましたが、病理解剖で得られる知見は、診療や医学研究の面でも貴重で有用です。現在勤務する病院では、剖検を行うことが困難で、医療事故とは別に担当医やご遺族が希望した場合の方策を考えているところです。
 この度、内科専門医制度は新しい制度に移行しましたが、従来の内科専門医の理念が今後も引き継がれることを願っています。

大阪府結核予防会 大阪病院長 藤井 隆 ―1280