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健康スポーツ医学再研修会

府医ニュース

2018年9月19日 第2868号

メンタルヘルスと運動の関係など解説

 大阪府医師会は8月9日午後、府医会館で平成30年度「健康スポーツ医学再研修会」を開催し、約160人が受講した。本研修会は、日本医師会認定健康スポーツ医の認定証更新に必要な受講単位(5単位以上)のうち、最大3単位を取得できる。
 はじめに、前川たかし理事が座長を務め、井上幸紀氏(大阪市立大学大学院医学研究科精神医学教授)が「メンタルヘルスと運動」と題して講演。ストレスマネジメントを紹介し、適度な運動がもたらすメンタルヘルスへの効果などを示した。一方で、過度な運動を行うとオーバートレーニング症候群を引き起こすことがあると述べ、重度の場合はバーンアウトやうつ病になるケースもあると注意を促した。更に、運動は強度よりも、「楽しめるかどうか」がストレス発散などの心理的効果にとって重要であると締めくくった。
 続いて、小田明彦氏(畷生会脳神経外科病院整形外科部長)が「スポーツによる運動器過労性障害」をテーマに、若年者に多い疲労骨折、中・高年者に多い靭帯・腱付着部炎の治療法などを詳説。従来の治療法に加え、最近話題になっている衝撃波治療の効果にも言及した。現状では衝撃波治療は、足底腱膜炎にのみ保険適用が認められているが、今後更に普及されることを期待していると述べた。
 最後に、木村穣氏(関西医科大学健康科学科教授)が「運動負荷試験講習(総論)――最近保険収載された呼気ガス分析運動負荷試験の実際」について解説した。平成30年度の診療報酬改定では、運動負荷試験に加え、連続呼気ガス分析加算が認められたと報告。この呼気ガス分析により、酸素摂取量や乳酸代謝閾値の詳細な評価が可能となり、生体の運動耐容能を詳しく評価できるようになったとした。心疾患患者の安全かつ効果的な運動療法や予後の改善にも貢献できるとし、臨床の現場で活用してもらいたいと呼びかけた。