
TO DOCTOR
医師・医療関係者のみなさまへ

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時事
府医ニュース
2026年3月18日 第3138号
薬剤を処方する場合に添付文書を読む必要性は周知のことであり、医師や薬剤師は「効能・効果」や「用法・用量」には必ず目を通していると思われるが、「用法・用量に関連する注意」はいかがであろう。最近、臨床現場や審査支払機関で問題となっており、審査における査定のみならず、万一の場合には医療事故となり得るので、注意が必要である。
以前より薬物代謝酵素CYP3Aによって代謝される薬剤の併用には注意が必要とされている。その中でも、令和2年7月に販売開始となったデエビゴ(レンボレキサント)錠は、「7.用法及び用量に関連する注意」の7・4に「CYP3Aを阻害する薬剤との併用により、レンボレキサントの血漿中濃度が上昇し、傾眠等の副作用が増強されるおそれがある。CYP3Aを中程度又は強力に阻害する薬剤(フルコナゾール、エリスロマイシン、ベラパミル、イトラコナゾール、クラリスロマイシン等)との併用は、患者の状態を慎重に観察した上で、本剤投与の可否を判断すること。なお、併用する場合は1日1回2.5㍉グラムに(減量)すること」とある。
また、2型糖尿病治療剤経口GLP-1受容体作動薬のリベルサス(セマグルチド)錠も「7.用法及び用量に関連する注意」の7・2に「本剤14㍉グラムを投与する際には、本剤7㍉グラム錠を2錠投与することは避けること」と記載されている。さらに「16.薬物動態」の16・2・1バイオアベイラビリティ(生物学的利用能)において、「本剤はセマグルチドの吸収を促進するサルカプロザートナトリウムを含有している。経口投与後にセマグルチドは主に胃で吸収される。本剤を食事又は他の錠剤と同時に服用した場合にはセマグルチドの吸収は低下する。また、飲水量、本剤服用後の絶食時間及びサルカプロザートナトリウムの投与量もセマグルチドの吸収に影響を及ぼす」とあり、効果減弱が指摘されている。
また、規格単位によって生物学的同等性が示されていない薬剤も複数あり、問題となっている。インフルエンザウイルス感染症の治療薬ゾフルーザ(バロキサビル マルボキシル)錠には10㍉グラムと20㍉グラムの2剤があるが、添付文書の「7.用法・用量に関連する注意」の最初に、「10㍉グラム錠と20㍉グラム錠の生物学的同等性は示されていないため、20㍉グラム以上の用量を投与する際には、10㍉グラム錠を使用しないこと」と記載されている。
2型糖尿病を合併する慢性腎臓病、慢性心不全に効能・効果のあるケレンディア(フィネレノン)錠も「7.用法及び用量に関連する注意」の最初に「10㍉グラム錠と20㍉グラム錠の生物学的同等性は示されていないため、20㍉グラム又は40㍉グラムを投与する際には10㍉グラム錠を使用しないこと」と記載されている。さらに、「16.薬物動態」の16・1・3生物学的同等性試験において、「日本人健康男性36例を対象にフィネレノン錠10㍉グラム2錠、及びフィネレノン錠20㍉グラム1錠をそれぞれ絶食下で単回経口投与したときの主要な薬物動態パラメータ、並びにAUC(O-tlast)及びCmaxの幾何平均値の比(10㍉グラム×2錠/20㍉グラム×1錠)」が示されている。
以上は一部に過ぎないので、新たな薬剤を処方する際には必ず添付文書を十分に読み、患者と医療関係者が不幸なことにならないようにしていただきたいと考える。(中)