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医師・医療関係者のみなさまへ

小児在宅医療研修会(実技研修)

府医ニュース

2026年3月18日 第3138号

地域における〝医療的ケア児(者)まんなかチーム〟の一員になろう!

 大阪府医師会は令和7年12月14日(大阪市内向け)、8年2月8日(中河内圏域向け)に、府内の基幹病院で7年度大阪府小児在宅医診療促進事業の一環として小児在宅医療研修会(実技研修)を開催した。医師、医療従事者ら約80人が実技と座学に励み、地域における医療的ケア児(者)を支える体制づくりに理解を深めた。

 位田忍氏(大阪母子医療センター臨床検査科主任部長)が進行し、前川たかし理事が開会あいさつ。医療的ケアが必要な児は、多様な疾患をあわせ持つことから状態像は様々だと語り、本研修会が在宅における小児の医療的ケアへの理解を深める一助になればと期待を寄せた。
 実技実習では人形を用い、人工呼吸器装着中における呼吸状態悪化時の対応や胃瘻ボタンの交換などを演習。引き続き、講演で取り組みを報告し、グループワークで意見を交わした。

切れ目のない支援を

 7年12月14日は、松本昇氏(淀川キリスト教病院小児科副部長)と山寺慎一氏(菜の花診療所院長)が登壇した。松本氏は、NICUを退院した後も、成人として自立した生活が送れるよう切れ目なく支援する重要性を強調。「NICU退院支援パス」を導入し、目標設定などを「見える化」したことで、より円滑な支援が可能になったと説示した。退院後の新しい生活に向けた支援体制の構築や家族への心理的サポートなども不可欠だと力を込めた。

現場では聞く勇気を

 山寺氏は、「障害があっても、成人として自立した生活を送れるよう支援することが目標」と掲げ、プライマリ・ケア医の立場から、小児期から青年期に移行する中での支援のポイントを伝えた。
消化器・呼吸器の問題やてんかんへの対応といった移行期特有の病態に対する理解は必要だが、一般医が成人の在宅医療で培ったスキルは応用可能だとした。その上で、現場では「分からなければ聞く勇気」を持って、患者や家族とともに成長する姿勢が大切だと説いた。

多職種や行政との連携

 8年2月8日は、古市康子氏(市立東大阪医療センター小児科部長)と藤戸敬士氏(藤戸小児科院長)が講演。古市氏は、同センターの取り組みを詳説した。「元気な時も、調子の悪い時も」患児と家族のそばで支える診療を目指しているが、「調子の悪い時こそ、身近なかかりつけ医に診てほしい」と要望する家族もいると明かし、緊密な病診連携を要請。あわせて、従事者を育成しつつ、継続的な支援によって患児と家族の生活の質を向上させていきたいと結んだ。

小児在宅医療の課題

 藤戸氏は、「やる気さえあればできる小児在宅医療」と題して登壇。医師が小児在宅医療を行う上で特別に必要な資格はないとしつつ、医療的ケア児の紹介に係る課題や新規開業する小児科医の少なさ、小児在宅医療のみでの経営の難しさなど、「やる気があってもできない」現状を指摘した。また、東大阪市で新たに立ち上げた訪問診療グループに触れ、地域の連携体制の強化が必要だと語った。