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時事

令和8年度診療報酬改定答申

府医ニュース

2026年3月4日 第3137号

ベースアップ評価料届出に注意

 令和8年度診療報酬改定は、賃上げ・物価高・経営悪化への「当面の手当て」を厚めにしつつ、後発品置換や長期処方等による効率化も同時に求める設計である。
 診療報酬は2年度平均+3.09%だが、8年度単年では+2.41%で、施行は8年6月となる。内訳として2年度平均でみると、賃上げ分は+1.70%(8年度+1.23%、9年度+2.18%)、物価対応分は+0.76%(8年度+0.55%、9年度+0.97%)、緊急対応分は+0.44%であり、(※1~5を除く)実質的な各科改定分は+0.25%となる。薬価は▲0.86%(材料価格▲0.01%、合計▲0.87%)で、後発医薬品への置換、過剰な在宅医療・訪問看護への適正化、長期処方・リフィル処方の推進などが、効率化・適正化目標▲0.15%として盛り込まれる。
 賃上げ対応では、各年度で+3.2%分のベースアップ実現を支援する枠組みが示され、前回のベースアップ評価料では対象外だった看護補助者・医療事務職員等については、+5.7%相当の上乗せが明記された。医療現場からの人材流出を防ぐ狙いがうかがえる。
 外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅰ)について、今回の答申では、かつてない「2段階改定」という手法が採られた。これは物価・賃金動向の不透明さを踏まえた措置であり、8年6月の改定と、9年6月以降で点数が大きく異なる。
 8年6月からは、初診時は現行6点から17点へ、再診時は2点から4点へと引き上げられ、さらに6・7年度から継続して賃上げを実施している医療機関には加算が新設され、初診時23点、再診時6点の算定が可能となる。これらは9年6月にさらに段階的に引き上げられ、初診時34点(継続時は40点)、再診時8点(同10点)となる予定である。
 ただし、届出時期によって算定できる賃上げ分が異なる。7年以前から届出のあった医療機関では、6~7年の賃上げ分と8年の賃上げ分の両方を算定できるが、8年からの届出医療機関では8年の賃上げ分のみ算定可能である。未届出では、すべての賃上げ分の算定機会を失うため、この点には注意されたい。
 また、物価対応分の分配では、病院+0.49%、医科診療所+0.10%、歯科診療所+0.02%、保険薬局+0.01%、緊急対応分においても、病院+0.40%、医科診療所+0.02%、歯科診療所+0.01%、保険薬局+0.01%と、病院に対して非常に手厚い分配となっている。さらに、高度機能医療を担う病院への特例的対応として、+0.14%の評価がなされる。
 入院基本料に関しては、急性期一般入院基本料は+119点~+186点と最大で10%以上の増額、地域一般・特別入院基本料で+92点~+114点と10%に近い増額となる。
 入院時食費では+40円、光熱水費が+60円の増額となる。また、新たな評価として、要件はあるものの、急性期病院Aでは入院基本料は1930点、急性期病院Bで1643点とされ、さらに上位の要件を満たすことで急性期総合体制加算を算定できる。特定機能病院はA~Cに新たに分類され、それぞれ一般入院基本料は2146点~2016点が設定される。
 病院にとっては十分とは言えないまでも一定の評価が可能な一方、診療所側は「これまでの改定と大差ない」と映り得る。今回改定から医療法人の経営情報データベース(MCDB)等の活用が可能となり、分析の精緻化を通じて「エビデンスに基づく改定」を進める旨が明記された。病院と同様に診療所も経営環境が厳しいことを、費用構造や人件費・物件費の実態として示し、次期改定に向けて継続的に発信していく必要がある。(隆)
※点数・施設基準等の詳細は、今後の告示・通知で最終確定する