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医師・医療関係者のみなさまへ

第50回 社会保険指導者講習会

府医ニュース

2026年3月4日 第3137号

適切な保険診療に向けて

 大阪府医師会は令和7年12月22日午後、府医会館で第50回社会保険指導者講習会を実施。郡市区等医師会役員をはじめ、医療保険委員会・指導委員会委員、社保・国保審査委員約120人が参集した。当講習会は、同年10月26日に日本医師会と厚生労働省主催で行われた「第69回社会保険指導者講習会」の「伝達講習会」としての位置付け。日医と厚労省による講習会は、新型コロナウイルス感染症拡大などの影響により、2年度(第64回)から6年度(第68回)まで開催が中止されたことにあわせ、府医からの伝達講習会も元年度の開催を最後に中止していた。今回が6年振りの開催となる。

 座長を務める北村良夫副会長の司会により開会し、加納康至会長があいさつで指導監査に言及。集団的個別指導の対象医療機関を平均点数で選定することや、高点数を理由とした個別指導の実施を問題視し、近畿厚生局や日医を通じて、厚労省に対して療養担当規則の適正な運用を目的として指導を実施するよう申し入れていくとした。あわせて、個別指導における指導事項の多くは、診療録への記載の乏しさだと指摘。診療録は診療報酬請求の根拠だと述べ、本伝達講習会の内容を持ち帰り、会員へ啓発することを求めた。

専門医とかかりつけ医
多職種との連携が大切

 講演では、まず、谷山佳弘氏(関西医科大学内科学第二講座腎臓内科担当診療教授)が、「病診連携と多職種で取り組むCKD(慢性腎臓病)対策」と題し登壇した。はじめに、CKDは、▽蛋白尿などの尿の異常▽腎機能低下▽形態異常――などが、3カ月以上続く状態と説示。糖尿病や高血圧が発症の原因となることが多いとし、治療目標として、「末期腎不全への進展阻止」「心血管疾患の発症予防」「死亡リスクの軽減」を挙げた。
 また、CKDの重症度分類を提示し、尿蛋白が多く腎機能も低下している場合だけでなく、尿蛋白が多く腎機能が低下していない場合も注目してほしいとアドバイス。尿蛋白が多く出ていることで、末期腎不全や心血管疾患による死亡リスクが高いと警鐘を鳴らした。特に、①改善や進展抑制を図れる②長期的な治療継続が必要③予後が不良――な患者については、専門医とかかりつけ医の連携が好ましいとした。
 あわせて、腎機能低下の抑制や透析導入・腎代替療法の質の向上、合併症管理の改善、服薬・食事・生活習慣のアドヒアランス向上などが期待されることから、積極的な多職種介入を推奨。加えて、現在のCKD診療においては、悪化するスピードを遅くすることはできるとし、eGFR(推算糸球体濾過量)値が低下していない段階で、ぜひ介入してほしいと呼びかけた。

次期診療報酬改定
各論の議論に注視

 続いて、永濵要理事が「厚生労働省関係伝達」を行った。「2040年度展望した医療について」では、冒頭、「ここ数年が医療の転換期だ」と語り、患者数は右肩上がりで伸びてきた時代を経て、ここ数年においては下降傾向にあると前置き。その上で、2040年を見据えて求められる医療やその提供体制を巡る課題を考察するとともに、課題解決に向けた方向性として新たな地域医療構想や医師偏在対策を中心に解説した。「8年度診療報酬改定に向けた課題と展望」では、7年10月26日現在の中央社会保険医療協議会での検討状況について報告した。病院の経営状態は顕著に厳しく、診療所においても年々利益率が下がる中、「骨太の方針2025」では、高齢化率の伸びに伴う社会保障関係費の増加に対する経済・物価動向を踏まえた対応について明記されたことに論及。「高齢化とは別枠で予算を確保する考え方が示されたことは非常に大きい」とし、今回の改定率プラス3.09%はその結果だとまとめた。
 最後に、これから大詰めを迎える次期診療報酬改定の各論の議論に向け、「財務省が主張する診療所の適正化といった考え方を確実に潰し、医療費財源は純粋に上乗せする『真水』による対応で勝ち取ってほしい」と力を込め結んだ。