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時事
府医ニュース
2026年2月25日 第3136号
令和7年12月22日、「第63回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会」が開催され、予防接種事務デジタル化に係る改正予防接種法等の施行内容について協議された。
予防接種事務のデジタル化に関しては、オンライン資格確認と同様、マイナンバーカードによる接種対象者確認の仕組みを導入し、予防接種の有効性および安全性の向上を図るための調査・研究を行うため匿名化した予防接種データベースを整備し、医療保険レセプト情報などほかのデータベースとの連結解析を可能とする。現状、自治体は紙の予診票や接種券を接種対象者に送付、医療機関は費用請求のため予診票・請求書を送付しており、厚生労働省は予防接種の実施状況を即時に把握できない。デジタル化後は自治体が住民のスマートフォンにデジタル予診票や接種勧奨を送付し、住民はマイナポータル上で予診票を入力、医療機関はタブレットアプリやPCサイト上で予診票を確認、接種記録を電子登録すると同時にオンライン費用請求が行われ、自治体は予防接種データベースへ実施状況を報告する。実装には、国・自治体・関係団体におけるシステム開発または改修が必要であり、運用開始には相当の時間を要するため改正法施行と国のシステム稼働は8年6月1日予定となるが、自治体側の改修は10年4月までに実装見込みとされた。
8年6月1日以降に実施された電磁的接種記録の保存期間については、被接種者本人による接種歴の確認や証明だけでなく、記録作成後の予防接種施策における利用等を目的として、現行の「接種後5年間」を「被接種者が亡くなった日から5年が経過する日までの間」に延長される。新型コロナウイルスに係る特例臨時接種に関する記録については、自治体保管のVRSによるデータを予防接種データベースに今後格納する。課題としてシステム改修に時間を要し高齢の接種対象者などデジタル予診票の利用が難しいケースがあることから、当面現行の紙の予診票による接種も併存することはやむを得ないとされた。
紙の予診票を利用した場合の接種記録の保管は現行のまま接種後5年間とされる。デジタル化後、予防接種データベースに格納する項目は、▽住民情報▽死亡情報▽副反応疑い報告▽接種記録情報――などが自治体から厚生労働大臣へ提供を義務化する予定である。
医療現場の利点としては、接種間隔の自動チェック、誤接種防止、接種実績の自動集計やオンライン請求での事務負担軽減等が考慮されるが、タブレットやPCの導入と維持費、紙と電子の併存による作業負担やITリテラシーの差によるスタッフ教育負担など課題も多い。加えてシステム停止時の代替フローや災害時のデータ保全といった制度設計上の検討も必要であり、拙速な義務化は避け、予防接種業務のデジタル化移行の利点を最大化して混乱を最小限に抑えた導入が必要となる。(昌)