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時の話題

高額療養費制度の見直し

府医ニュース

2026年2月25日 第3136号

令和8年8月と9年8月の2段階で引き上げ

 令和6年12月25日、厚生労働省は高額療養費制度の見直しを発表。7年8月~9年8月にかけて3段階で自己負担額の上限を見直す案を発表したが、難病患者団体や全国がん患者団体連合会等の当事者から強い反対の声が上がり、7年の秋から有識者代表、患者団体代表、保険者代表、医師会代表等が構成する「高額療養費制度の在り方に関する専門委員会」で8回の会議を開催し、7年12月16日にとりまとめが行われた。その案に12月24日、上野賢一郎・厚労大臣と片山さつき・財務大臣は合意した。8年8月と9年8月の2段階で自己負担額の月額上限額を所得に応じて引き上げる。
 現行の所得区分ア(年収約1160万円~)、イ(約770万~約1160万円)、ウ(約370万~約770万円)、エ(~370万円)、オ(住民税非課税)のまま、8年8月から月額上限額を引き上げるが、4回目以降の多数回該当の上限額は現行のまま変えない。例えば、現役世代の標準的な年収のウの所得区分では、月額上限約8万円から5700円上昇の約8.58万円になるが、年間上限額53万円が新たに設けられた。しかし、ア~オの区分ではあまりにも大まかすぎるので、9年8月からはア~エの4つの区分をさらに3つに分け、12区分とし、細かな上限額が設定される。例えば、ウの区分では、約8.58万、約9.81万、約11.04万円の3段階に設定される。200万円以下の低所得者については、9年8月から多数回該当の月額上限額を4.44万円から3.45万円に引き下げ、年間上限額も年間53万円から41万円に引き下げる。以上のように、見直しにより月額の上限額を細かに設定しながら引き上げるが、それにより多数回該当とならなくても年間上限額を新たに設けることで、負担軽減を図っている。年収200万円以下の低所得者については、多数回該当の月額上限額および年間上限額をさらに軽減することで、負担軽減している。
 一定所得以下(年収370万円以下)の70歳以上の高齢者については、現行では外来特例があり、月額1.8万円で年間上限額14.4万円であるが、現役世代では認められていない。この不公平感をなくすため、廃止の意見もあったが、高齢者は多数の病気を抱えており、他の保険制度でも高齢者の自己負担増が検討されていることから、全体を見ながら検討する必要があるとの判断になった。8年8月から外来特例は月額1.8万円から2.2万円になり、年間上限額21.6万円に引き上げられる。住民税非課税世帯では、現行月額上限8千円から8年8月に1.1万円(年間上限額9.6万円)、9年8月から月額1.3万円(同9.6万円)となる。
 高額療養費の見直しで、政府は約1070億円の給付費の削減を見込んでいるが、受診抑制の結果、生命に関わることにならないか懸念の声も聞かれる。なお、加入する保険者が変わる際に多数回該当のカウントがリセットされる仕組みへの対応は今後検討されることになる。