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時事

「認知症施策推進基本計画」の実施状況

府医ニュース

2026年2月18日 第3135号

本人参画の関係者会議で議論

 1月8日、「認知症施策推進関係者会議」の第7回会合が開催された。
 令和6年1月施行の「共生社会の実現を推進するための認知症基本法(通称:認知症基本法)」では、共生社会を〝認知症の人を含めた国民一人一人がその個性と能力を十分に発揮し、相互に人格と個性を尊重しつつ支え合いながら共生する活力ある社会〟と定義し、基本的施策に、①国民の理解②バリアフリー③社会参加④意思決定支援・権利擁護⑤保健医療・福祉⑥相談体制⑦研究⑧予防⑨調査⑩多様な主体の連携⑪地方公共団体への支援⑫国際協力──の12項目を掲げている。内閣総理大臣を本部長とし、すべての国務大臣が本部員となる「認知症施策推進本部」の設置を定め、基本計画の作成や変更をはじめ、重要な案件については、医療・介護業界や自治体関係者、有識者のみならず、認知症の人および家族等が参画する「認知症施策推進関係者会議」の意見を聴かなければならないとした。
 この規定に従い、6年12月に閣議決定されたのが「認知症施策推進基本計画」である。ここでは〝新しい認知症観〟、すなわち、認知症になったら何もできなくなるのではなく、認知症になってからも、一人一人が個人としてできること・やりたいことがあり、住み慣れた地域で仲間等とつながりながら、希望を持って自分らしく暮らし続けることができるとの考え方が強調されている。都道府県や市町村には、同計画を基本として、地域の実情に即した計画策定の努力義務が課せられ、その過程においては、本人や家族等の意見を聴くことが求められている。
 さて、今回の会合では、基本計画の実施状況が議題となった。厚生労働省からは、理解の促進、バリアフリー化、社会参加の機会の確保、サービス提供体制の整備、研究の推進に関する取り組みとともに、自治体における計画策定状況が報告された。昨年4月時点での策定済みは、都道府県の40.4%、市区町村の8.9%であった。策定にあたり、本人や家族等からの意見聴取に課題が見られる市区町村が31団体(1.8%)となっていた。
 ちなみに、大阪府は6年に、認知症(若年性を含む)の本人6人、家族7人から計画案の概要に対する意見を聴いた上で、「大阪府高齢者計画2024」とあわせて一体的に策定している。大阪市は9年度からの「高齢者保健福祉計画・介護保険事業計画」と一体的に策定するとしており、同様の自治体は多いと見込まれる。
 各省の認知症施策として、▼文部科学省:学校教育、社会教育、運動・スポーツ習慣化、予防・診断・治療・ケアのための研究▼経済産業省:当事者参画型開発、仕事と介護の両立支援▼国土交通省:居住支援、自動運転、バリアフリー整備、公共事業者向け接遇ガイドライン▼警察庁:バリアフリー対応型信号機、オレオレ詐欺対策▼消費者庁:消費生活相談、地域での見守り活動──が報告された。
 認知症基本法は、条文検討の時点から、認知症の人本人が参画したことが大きな特徴となっている。このような「患者・市民参画(PPI:Patient and Public Involvement)」の動きは、臨床研究・医薬品・医療機器開発、がん対策、診療ガイドラインなど、様々な領域で進んでいる。(学)