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府医ニュース

2026年2月4日 第3134号

 貿易圧力が必ずしもうまくいかない事例は、最近の極東アジアで多々発生している。そのような事例になるかどうかの期待を集め、1月14日に資源探索船『ちきゅう』が南鳥島に向けて出航した。この時期にまたなぜと思って調べると、『ちきゅう』はレアアースのために建造されたものではなかった。2005年科学掘削の目的で建造され、その一つがレアアースだったわけである。その後11年に、深海の泥にレアアースを含むことが発表され、13年南鳥島周辺の高濃度レアアース泥の発見につながった。その後10年程の潜伏期間ののち、23年からは海洋安全保障プラットフォームの構築5カ年計画が開始され、南鳥島EEZでのレアアース泥の採掘・分離・精製技術の実証が行われている。この時すでに『ちきゅう』を用いた技術実証が提示されていた。
 25年12月から26年2月にかけては、採鉱システムを深海で成立させる接続実験が行われ、27年から揚泥能力を上げた次段階の試験が計画されている。このような地道な研究が10年以上継続されてきた。『ちきゅう』が外交応酬を待って出航したわけではないが、不格好な『ちきゅう』のインパクトは大きい。
 『ちきゅう』の次に考えることは、昨年ノーベル賞を受賞された京都大学・北川進先生の格子状の多孔性マトリックスである。この構造体にレアアースも吸着するのだろうか。すでに水素や水の吸着は実用化されている。砂漠で水を精製する技術などは奇想天外であるが、現時点でレアアース精製実用化の報告はない。しかし世界中で研究が進んでいることは確信できる。実用化されれば、世界のレアアース構図が一変する可能性を秘めている。『ちきゅう』がホタテに続く快挙になるのか、しばらく目が離せない。(晴)