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時事
府医ニュース
2026年2月4日 第3134号
令和7年12月25日に第209回社会保障審議会医療保険部会と第9回高額療養費制度の在り方に関する専門委員会(以下、専門委員会)が合同開催され、医療保険制度改革について議事が行われたが、その一つは「高額療養費制度の見直しについて」であった。
高額療養費制度は、セーフティネット機能として患者・家族にとってなくてはならない制度であり、今後もこの制度を堅持していく必要がある。その上で、高齢化の進展や医療の高度化、高額医薬品の開発などが今後も見込まれる中で、また、現役世代の保険料負担に配慮する必要がある中で、他の改革項目も含め、医療保険制度改革全体の中で全体感を持って議論していくことが必要である。
依然として、医療保険部会において医療保険制度改革全体の議論が行われている現状において、具体的な金額の方向性を含む形で専門委員会の議論をする段階には至っていないが、基本的な考え方として、以下のように整理される。
現在、医療保険部会において「世代内、世代間の公平をより確保し、全世代型社会保障の構築を一層進める視点」「高度な医療を取り入れつつセーフティネット機能を確保し命を守る仕組みを持続可能とする視点」「現役世代からの予防・健康づくりや出産等の次世代支援を進める視点」「患者にとって必要な医療を提供しつつ、より効率的な給付とする視点」――という4つの視点に基づいて議論が深められているが、高額療養費に関しても、近年の医療費の伸び等に一定程度対応した形での自己負担限度額(以下、限度額)の見直しを行っていくことの必要性は理解する。
ただし、限度額の見直しに当たっては、高額療養費のセーフティネット機能に鑑みると、長期にわたって療養される方の経済的負担のあり方に十分配慮すべきである。加えて、療養期間が短期の方を中心に限度額を見直す場合であっても、所得が低い方に対しては適切な配慮を行うことが必要である。
現行の高額療養費制度の所得区分は、応能負担の考え方を踏まえた制度設計という観点からは改善の余地がある。そのため、所得区分を細分化し、所得区分の変更に応じて限度額ができる限り急増または急減しないようにする制度設計とすることが適当である。
また、70歳以上の高齢者のみに設けられている外来特例については、制度の必要性自体は理解できるものの、制度の見直し自体は避けられないという方向性で概ね一致した。
高額療養費制度は、特に療養期間が長期にわたる患者にとってなくてはならない制度であり、多数回該当の限度額については現行水準を維持すべきである。加えて、仮に多数回該当以外の限度額を見直した場合、限度額に到達しなくなり、その結果、長期療養が必要であるにもかかわらず多数回該当から外れてしまう方が発生するため、新たに患者負担に「年間上限」を設けることも検討すべきである。さらに、保険者におけるシステム面での対応が制約条件にならないよう、実現に向けた制度設計の詳細や課題を早急に整理すべきである。
以上が、専門委員会の8回に及ぶ議論を踏まえた、高額療養費制度の見直しを行っていく場合の基本的な考え方であり、具体的な金額等については医療保険制度改革全体の議論を踏まえて設定すべきである。施行時期については、国民・医療関係者への周知、保険者・自治体の準備(システム改修等)などを考慮すると、一定の期間が必要である。8年夏以降、順次施行できるよう、丁寧な周知等を求めたとした。(中)