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医師・医療関係者のみなさまへ

高石市医師会映画上映会

府医ニュース

2026年2月4日 第3134号

『荒野に希望の灯をともす』鑑賞

 高石市医師会(矢田克嗣会長)は、令和7年9月27日、アプラホールと共催で映画上映会を実施した。映画は『荒野に希望の灯をともす』と題した、医師・中村哲の半生を描いたドキュメンタリーである。前年度の映画上映会の折に「ぜひ、この映画を上映してほしい」という希望があって実現したものである。
 中村医師は、アフガニスタンで35年にわたり病や貧困に苦しむ人々に寄り添い続けた人である。亡くなって6年が過ぎようとしているが、その活動に関心を持つ人は今も少なくないのだろう。3回の上映に普段の倍以上の観客に足を運んでもらうことができた。
 「自分以外に誰もやる人がいなかったから」と、ペシャワールで診療所を開き、それにとどまらず、井戸を掘り、用水路を建設した。長引く戦乱に続く大干ばつ。飢えと渇きで人々は命を落とし、診療所で治療をする医療だけでは命は守れないことに、気付かずにはいられなかったからである。そして、戦闘へリの飛び交う中で、無謀ともいえる用水路の建設に挑んだ。
 映画は、現地の人々の信頼を得られるまで、裏切られてもなお信義を尽くそうとする中村医師の活動の場面や、折々のインタビューをはさみ、砂だけの大地に少しずつ緑が育ち、用水路で水しぶきを飛ばして子ども達が遊ぶ光景を淡々と映し出していく。命を守るためにスコップを持ち、戦う平和主義を貫いたその生涯。彼の命は凶弾により絶たれたが、彼が残した用水路が運ぶ水は大地を潤し、今も65万人の命を支えているのである。
 殉職者の名前がリストアップされ、エンドロールが終わってからも、すぐに席を立つ人はなく、観客はそれぞれの思いにふけっているようであった。
 我々もまた、医師として病に苦しむ人のために何ができるのか、改めて考えさせられる映画であった。
報告 高石市医師会