
TO DOCTOR
医師・医療関係者のみなさまへ

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府医ニュース
2026年2月4日 第3134号
本公開討論会は、昭和56年に始まり、今回で第46回を迎える。コロナ禍では、会場に集まり開催することができず、ユーチューブ配信という形で実施していたが、今回6年ぶりに開催することができた。長年にわたり続けられるのは、医師会への期待の表れだと考えおり、感謝申し上げる。
今回のテーマはACP(人生会議)である。多死社会を迎えた現代において、患者が自身の希望に沿った最期を迎えるためにACPは重要だが、一般の認知度は十分ではない。本討論会でACPへの理解を深めていただきたい。我々医療者も、患者の希望に沿った最期を迎えられるよう努力を続けていく。
大阪府医師会は令和7年11月23日午後、府医会館で第46回大阪の医療と福祉を考える公開討論会を開催。「ACP(人生会議)を知っていますか?――より良い最期を迎えるために、患者と家族、医療者みんなで考える」をテーマに、パネリストらが意見を交わした。当日は抽選により当選した府民ら約300人が参加した。
山崎香佳・MBSアナウンサーの司会により開会し、加納康至会長があいさつした。
第1部「公開討論会」では、パネリストとして、池永昌之氏(淀川キリスト教病院緩和ケア内科主任部長)、川邉正和氏(かわべクリニック院長)、佐々木慈瞳(じとう)氏(公認心理師/僧侶)が登壇し、それぞれの立場からACPの基本的知識や臨床経験に基づいたACPの大切さなどについて講演を行った。その後、事前に寄せられた質問に回答。コメンテーターは、大平真司理事が務めた。
池永氏は、「心筋梗塞や脳卒中、交通事故などによって、急に意識がない状態になってしまう。そのような状況で、治療を自身で決められない時のことを考えたことはありますか」と問いかけた。その上で、自院で起こった事例を挙げつつ、ACPの重要性を指摘。自身の希望を周囲に伝えておかなければ、家族が困ることになるとし、家族が集う機会に今一度皆で考えてほしいと伝えた。
川邉氏は、平成27年に在宅療養支援診療所を開設以来、約750人の患者を在宅で看取ってきた経験を語り、入院医療と在宅医療の違いを説述した。在宅医療は、夕食の匂いや家族の声、ペットの足音など、日常生活の中に医療や介護の専門職がチームで寄り添う医療だと力説。「入院医療」と「在宅医療」どちらが正しいではなく、「どう生きたいか」を病気になる前から家族で話すことがACPだと訴えた。
佐々木氏は、「よくいき」を提唱。「よくいき」とは、▽欲ばりで粋な自分▽善く生きる――ことであり、カッコいい自分、あこがれる自分になるために努力することだと説明した。そして、自身の「よくいき」を周囲の人に伝え、理解してもらうことが大切だと言及。自分らしい生き方が周囲に重なっていくことで、「良く逝ききる」ことができると説いた。
事前に寄せられた質問では、「在宅医療体制の地域差」に関する質問に川邉氏が回答。大阪府はほかの都道府県よりも比較的体制が整いつつあると説示した。今後は、在宅医の専門性などにも着目してほしいと述べた。また、「安楽死」について、佐々木氏が持論を展開。安楽に最期を迎えることは、病院でも自宅でも医療サポートによって可能だと指摘した。一方で、安楽死を望む人は安楽な生き方ができない状態であることが想定されるが、「『生きる』とは何か」を人生でどれだけ考えたことがあるかと問いかけ、亡くなる時まで、「自身に何ができるか」を探してほしいと諭した。
最後に大平理事が総括。独居高齢者の増加を懸念し、家族だけでなく、かかりつけ医や訪問看護師・介護士、ケアマネジャーなどの医療従事者に相談してほしいとまとめた。
第2部では映画試写会として「栄光のバックホーム」を上映。実話に基づく感動的なストーリーに多くの参加者が涙した。
討論会の模様はMBSラジオ「上泉雄一のええなぁ!」公式ユーチューブチャンネルより視聴可能。
2013年のドラフト会議で阪神タイガースに2位指名された横田慎太郎、18歳。順風満帆な野球人生が待っていると思われた矢先、慎太郎の体に異変が起こる。ボールが二重に見えるのだ。医師による診断の結果は、21歳の若者には残酷すぎる結果だった。脳腫瘍――。その日から、慎太郎の過酷な病との闘いの日々が始まる。そして2019年9月26日、引退試合で魅せた〝奇跡のバックホーム〟は人々を驚かせ、感動を呼んだ。