TO DOCTOR
医師・医療関係者のみなさまへ

勤務医部会活動報告

令和7年度全国医師会勤務医部会連絡協議会に参加して――岩手県の医療が育む「大きな視座」

府医ニュース

2026年1月28日 第3133号

 令和7年11月9日、盛岡市のホテルメトロポリタン盛岡NEW WINGにて開催された「全国医師会勤務医部会連絡協議会」に参加いたしました。2日目のプログラムは、若手研修医を交えた「勤務医交流会」です。「どのような医療に貢献したいか、その時に医師会は何ができるか」というテーマを掲げ、グループワークが行われました。
 私のグループには、岩手県立中央病院から2人の研修医が参加していました。正直に申し上げれば、私は当初、一抹の不安を抱いておりました。「医師になったばかりで日々の業務に追われる彼らに、果たしてこの問いへの答えがあるのだろうか」と。しかし、その懸念は議論が始まってすぐに払拭されました。そこには、地域医療が育んだ「たくましさ」と、強い「当事者意識」が溢れていました。
 一人の研修医は「脳神経外科医になりたい」と語ってくれました。岩手県では、脳神経外科や心臓血管外科といった生命の危機に直結する専門医が不足していると言います。クモ膜下出血や大動脈解離に遭遇しても、自院で完結できず、他院へ搬送せざるを得ない現状。彼はその最前線に身を置き、高い問題意識を持って未来を見据えていました。
 議論はいかにして若手を重要診療科へ導くかというテーマになりました。総合診療医の育成に重きを置く現在の研修プログラムにおいて、いかに外科的トレーニングの機会を確保するか。過酷な勤務や単身赴任が多い現状を踏まえ、家族との時間を守る体制をどう構築すべきか。
 普段、大阪で勤務する私は、医師偏在対策としての若手医師の地域派遣に対し、「ようやく病院に慣れてきた頃に異動を繰り返すのは、キャリア形成にマイナスではないか」と懸念しておりました。しかし、今回の交流を通じ、その考えが一方的であったと痛感いたしました。リソースの限界を感じながらも現場で奮闘する経験は、医師として一生の財産となる大きな視座を養います。都市部の医師こそ、こうした地方の先生方が持つ熱量から学び続ける必要があるのではないでしょうか。
 会を締めくくる際、宮田剛氏(岩手県立中央病院理事)が仰った言葉が、今も胸に深く刻まれています。「岩手県の医師不足について色々言われていますが、私達はとても楽しくやっています」。今回の経験を糧に、多角的な視野を持って、これからの医師会活動に対峙してまいりたいと思います。

U40 OSAKA勤務医部会委員 山﨑 大輔