
TO DOCTOR
医師・医療関係者のみなさまへ

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勤務医部会活動報告
府医ニュース
2025年12月31日 第3130号
11月8日早朝、10月に閉幕した大阪・関西万博行きのバス乗り場を横目に、空港行きのリムジンバスへ乗り込みました。大阪の気温は11℃。伊丹空港からいわて花巻空港行きに搭乗し、富士山付近を越えると窓の外には一面の紅葉が広がり、盛岡の最低気温1℃という空気の冷たさを予感させました。いわて花巻空港からのバスに揺られ、ホテルメトロポリタン盛岡NEW WINGに到着したのは開始10分前。すでに会場はほぼ満席でしたが、大阪府医師会の先生方(清水智之・勤務医部会常任委員〈府医理事〉、藤本康裕・同部会副部会長、竹内一浩・同部会常任委員、山﨑大輔・U40OSAKA同部会委員、事務局)が前方に席を確保してくださっており、温かな気持ちで着席することができました。
今年のテーマは「勤務医が生き生きと活躍できる場を作る――混沌を成長の機会に」。岩手県医師会の皆さまの心のぬくもりが形になったような言葉で、勤務医である私の胸にも強く響きました。
特別講演Ⅰでは、松本吉郎・日本医師会長より勤務医支援の現状、危機的な病院経営、社会保障費抑制の流れ、OTC類似薬への誘導についてお話がありました。医療の専門性が損なわれかねない中、松本・日医会長が国民の医療を守るため矢面に立ち、粘り強く交渉を続けてくださっていることに深い感謝を覚え、自分に何ができるのかを考えさせられました。
特別講演Ⅱでは、久慈浩介氏(株式会社南部美人五代目蔵元代表取締役社長)より、仲間と智恵を重ね挑戦を続け、世界に日本酒を広めた歩みが語られました。混沌の中でも信念を貫く姿勢は医療にも重なるものがあり、大きな勇気をいただきました。
午後の特別講演Ⅲでは、鈴木康裕氏(国際医療福祉大学長)より、新型コロナウイルス感染症対応と日本医療の課題が国際的視点から示されました。異なる立場の意見に触れる中で、医師会という組織が多様な価値観を内包する場であることを再認識しました。
続くシンポジウムでは、研修医教育、総合診療、医療DX、女性医師のキャリア、人口減少地域の課題について具体的な実践が共有されました。特に住吉明子氏(岩手県立中央病院総合診療科)による女性医師としての半生は、肩の力を抜き〝自分が求められる場所で働く〟姿勢が深く心に残りました。
終盤、「いわて宣言」の採択に向かう場面で、沖縄県の先生より「医師もストライキの姿勢を示してはどうか」との発言があり、会場が大きく沸きました。その瞬間こそが〝混沌を成長の機会に〟の体現であり、全員で思いを分かち合いました。最後まで岩手県医師会の皆さまの温かなお心遣いに触れ、深い感謝とともに会を後にしました。
府医勤務医部会常任委員 吉村 千恵