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モデル事業が進行中

府医ニュース

2025年12月31日 第3130号

来年は電子カルテ情報共有〝元年〟となるか

 12月10日、厚生労働省「健康・医療・介護情報利活用検討会医療等情報利活用ワーキンググループ」の第26回会合が開催され、「電子カルテ情報共有サービス」モデル事業の進捗状況が報告された。同サービスにおいて医療機関間で共有される情報は、3つの文書情報(①診療情報提供書②退院時サマリー③健診結果報告書)、および6種の臨床情報(①検査〈救急、生活習慣病に関する項目〉②感染症③処方④傷病名⑤薬剤アレルギー等⑥その他アレルギー等)である。また、医療保険者には健診結果報告書の情報が提供され、患者は自身のマイナポータルで、健診結果報告書や臨床6情報を閲覧できる。
 モデル事業は2月から、全国の10地域で実施中であり、9地域(北海道、山形県、茨城県、千葉県、静岡県、石川県、愛知県、三重県、宮崎県)22医療機関で運用が開始されている。臨床情報の登録から検証を開始したところ、課題が複数発生し、現在は原因の特定と解決が必要な状況とのことである。今後、改修を行った地域から閲覧の検証、運用フローの検証と進み、並行して、文書情報についても準備ができた地域から実証を行う。そして、来年度の冬頃、すなわち【約1年後をめどに、可能な文書・情報から】全国での運用開始を目指す方針が打ち出された。なお、処方情報は、診療情報提供書からの抽出は行わず、電子処方箋の情報が用いられる見通しとなった。
 電子カルテについては、オンプレミス型から、クラウドネイティブなものへの移行が図られる。オンプレミス型(on-premises:premisesは構内や建物の意)とは、データの管理や保存を行うコンピューターであるサーバー等を自院内に設置するタイプで、これに対し、サーバー等がインターネット回線を介した遠隔地にあるものがクラウド型である。さらにクラウドネイティブとは、クラウド上での動作を前提として設計・開発されたシステムを意味し、複数の医療機関で共同利用できるマルチテナント方式、いわゆるSaaS(Software as a Service)型等のモダンな技術を取り入れた製品と説明されている。
 厚労省「医療施設調査」によると、令和5年時点での電子カルテ導入率は、一般病院では全体で65.6%(400床以上:93.7%、200~399床:79.2%、200床未満:59.0%)、一般診療所は55.0%である。病院では多くがオンプレミス型で、診療所においても8割強を占める。今後、これらの医療機関に対しては、これから策定される標準仕様に即した低価格のクラウド型電子カルテの、また、電子カルテ未導入の診療所に向けては、標準型電子カルテ(導入版)の普及拡大が進められることとなる。現在開発中の「導入版」は【来年度中の完成】が目指されている。クリック操作を主とする感覚的に使いやすいシンプルな画面設計で、紙カルテや現行の電子カルテ業務はそのままに、国の医療DXに対応できるという。
 来年夏までに、電子カルテ/電子カルテ情報共有サービスの具体的な普及計画が示される予定とのことであるが、急ぐあまりに十分な準備や対策、支援や救済措置が行われず、〝笛吹けど踊らず(踊れず)〟の事態とならないことを願う。(学)