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将棋部だより

11月例会の成績 新参加者が全勝優勝

府医ニュース

2025年12月17日 第3129号

 11月16日に今年最後の例会を、大阪市中央区谷町の大阪府社会福祉会館で開催した。紅葉が燦然と輝く、よく晴れた日だった。
 師の杉田久女(ひさじょ)さんから情熱を受け継いだ橋本多佳子さんは、「雪はげし抱かれて息のつまりしこと」と詠んだが、次第に心を深く澄ませてゆき、「寒月に焚火ひとひらづつのぼる」などの神韻縹渺(しんいんひょうびょう)たる句を詠むようになった。
 「世界が存在するということ自体が驚きである」とハイデッガーは語ったが、「神秘的なのは世界がいかにしてあるのかではない。ただただ世界があることなのである」とウィトゲンシュタインも語った。
 多佳子さんは世界があることへの驚きを幽玄な俳句で表現した。我々は将棋を通じて存在することの不可思議を感じるようになった。そして対局できる喜びを、勝敗を超えて感じられるようになったのである。
 参加者は11人だった。済生会中津病院の福田晴行五段が7年ぶりに参加した。そして同病院の堅田浩史先生がはじめて参加した。この先生の腕前が非凡であることはすぐに分かった。着手に冴えが感じられた。常に最善を尽くそうと努め、全勝優勝を果たした。3勝1敗の佐野五段(豊中市)が2位で、準会員四段が3位になった。ほかの参加者は手島七段(和泉市)、伊藤五段(野崎徳州会病院/大東市)、東森五段(平野区)、濱田五段(東住吉区)、山中五段(福島区)、青谷三段(高槻市)、準会員二段だった。
 「存在する必然性が全くないのに世界がある。神を持ち出さずにこれを説明できない我々はニヒリズムに陥らざるを得ない。だがハイデッガーはこれを逆転させ瞬間に立つ至福を発見した」とヴァレリーは称えた。我々は将棋を指してはその至福を味わうのである。

新入部員募集

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報告 手島 愛雄(和泉市)