
TO DOCTOR
医師・医療関係者のみなさまへ

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府医ニュース
2025年12月17日 第3129号
大阪府医師会は11月3日、大阪市内のホテルで創立78周年記念式典および祝賀会を挙行。府医執行部をはじめ、郡市区等医師会長や歴代の府医役員など約100人が一堂に会し、ともに祝した。また、医学教育功労者ならびに功労会員らを表彰し、これまでの功績をたたえた。
当日は栗山隆信理事が司会を務め、阪本栄副会長が開会を宣言。はじめに、加納康至会長が式辞を述べ、長年にわたり府医の活動を支えてきた会員をはじめ関係者の尽力に謝意を表した。また、4月から約半年間にわたり開催された「大阪・関西万博」においては、会場内に設置された救護所に延べ140人の会員が出務し、来場者の安心・安全を守ってきたことに改めて感謝を述べた。一方で、病院のみならず、診療所の経営もかつてないほど厳しい状況だと言及。10月21日に発足した高市早苗内閣は、医療・介護の窮状をよく理解しているとして、新内閣に期待を寄せた。その上で、日本医師会がさらに力を発揮するためには組織率の向上が最重要課題だと指摘。府医としても魅力ある医師会づくりに努め、会員増強を図っていくとともに、会員医師が安心して医療を提供できるよう努めることも医師会の果たすべき役割だとして、一層の理解・協力を求めた。
続いて、医学教育功労者に河田則文氏(大阪公立大学大学院医学研究科特任教授)、保健文化賞受賞記念府医会長賞を受賞した交野市医師会訪問看護ステーションを表彰した。さらに、功労会員として白寿会員18人、米寿会員65人、在任10年以上の府医代議員・各種委員会委員・保健医療センター協力医師・永年勤続職員に感謝状が贈呈された。
その後、被表彰者を代表し、河田氏が謝辞。自身が医師になり40年、医学の進歩は目覚ましいものがあると述べ、引き続き医学および府医の発展に励むと語った。
閉会にあたり宮川松剛副会長は、国民皆保険制度の存続が危ぶまれていると憂慮。同制度を堅持するために活動していくと締めくくった。
式典後に行われた記念祝賀会では、岡原猛・府医代議員会議長の乾杯の発声で歓談に移り、懇親を深めた。また、茂松茂人・日医副会長が中央情勢を報告。自民党と日本維新の会の連立政権における医療政策について触れ、病院と診療所が分断されることのないよう日医としてしっかりと主張していくと力を込めた。さらに、OTC類似薬の保険適用除外やかかりつけ医機能報告制度、地域医療構想、次期診療報酬改定に関する議論などに言及。日医の活動を後押しするためにも、組織率のさらなる向上が求められるとまとめた。
昭和61年に大阪市立大学(現大阪公立大学)医学部卒業。平成3年に医学博士の学位を取得し、同年7月よりドイツ、フライブルク大学生化学研究施設へポスドク研究員として留学。帰国後は大阪市立大学医学研究科に勤務し、18年から肝胆膵病態内科学の教授を務めた。
一貫して肝疾患の基礎研究に従事し、特に、肝硬変発症のメカニズム解明に取り組み、哺乳類第4のグロビン「サイトグロビン」を世界で初めて発見。臨床面では、慢性肝疾患の診療に注力し、特にC型肝炎ウイルス駆除療法では大阪公立大学医学部附属病院を国内トップ5の治療実績を誇る施設へと導いた。
そのほか、ベトナム社会主義共和国との医学交流を推進し、ハノイ医科大学に大阪公立大学ハノイ事務所を開設。大学院生や医師の交流を開始し、多数の留学生を受け入れてきた。これらの活動が評価され、ハノイ医科大学名誉教授、108軍中央病院客員教授の称号も授与されている。
平成6年に交野市医師会が枚方市医師会から分離独立し、同年10月に訪問看護ステーションを開設。12年にケアプランセンター、15年にヘルパーステーションを開設し、訪問看護・居宅介護支援・訪問介護が一体となった在宅支援体制を構築しており、17年には24時間体制が整備されている。
住み慣れた地域で安心して療養生活を送っていただくという理念のもと、医師会立である強みを生かし、会員医師や他市の診療所・病院、また行政や包括支援センターとも緊密に連携を図っている。
今後起こるとされる大規模災害時に、訪問看護・介護の中心的役割を担えるよう引き続き取り組みを進めていく。
別会場では「健老会」を開催。約220人が参加した。
開会にあたり加納会長があいさつ。先達の豊富な経験と知識はかけがえのない財産であるとし、今後の医療のあり方や後進の育成への助言を求めた。次に、今年度に叙勲の栄に浴された会員が紹介され、森口久子・澤井貞子両理事より花束が贈られた。さらに、出席会員で最高齢の前田慶子氏(生野区)にも花束が贈呈された。その後、松山浩吉氏(府医厚生福利委員会委員長)による乾杯とともに、参加者は旧交を温め、和やかな時間を過ごした。
大阪府医師会では、「府医の発展は先人の努力」との観点から、満70歳以上の会員を敬うため、昭和25年に「敬老会」として発足。55年に現在の「健老会」に名称を変更し、開催を続けている。11月3日時点での健老会員は3960人。