
TO DOCTOR
医師・医療関係者のみなさまへ

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調査委員会だよりNo.132
府医ニュース
2025年12月3日 第3128号
本年3月に調査委員会が実施した会員意見調査において、マイナ保険証導入後の受付業務への影響について尋ねた。
「便利になった」「どちらかといえば便利になった」と回答した肯定的意見は19.2%、「不便になった」「どちらかといえば不便になった」とする否定的意見は21.5%となり、両者はほぼ同率であった。一方「どちらともいえない」「分からない」と回答した割合が全体の約6割を占め、制度の評価を明確にできていない層が多数を占める結果となった。
年齢別にみると、29歳以下の層では肯定的意見が多かったが、回答者がすべて勤務医であり、受付業務の混乱を直接経験していないことが背景にあると考えられる。それ以外の年齢層では評価が分かれ、特に中高年層では明確な判断を避ける傾向がみられた。業種別でも同様の傾向がみられるが、診療所の医師では否定的意見が比較的多かった。受付と診察室が近接する環境において、高齢患者への操作支援やオンライン資格確認ができない場合の対応などを身近に感じていることが要因と推察される。
またマイナ保険証を所持していても資格情報通知書(資格情報のお知らせ)が送付される現状は制度上の矛盾として指摘されており、さらに厚生労働省から「資格無効時の対応」などに関する通知が繰り返し発出されていることからも、制度運用の不安定さがうかがわれる。これらの課題が解消されない限り、制度に対する肯定的評価の拡大は期待し難い。今後は、国による制度設計の見直しや運用面での信頼性の確保が強く求められる。
文 梅原 滋(此花区)