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府医ニュース

2025年12月3日 第3128号

 ◆小筆と同い年で台湾出身の欧陽菲菲(オーヤン・フィーフィー)が歌う「雨の御堂筋」。かの国のイントネーションでの歌いが、異国情緒をかもしている。
 ◆最近のAI技術は目覚ましい。外国の歌手が日本語で歌う時、AIに入力すると、歌手の声や息遣いそのままで、普通の日本語のイントネーションでのミュージックビデオに。世界各国に売り込もうというプロデューサーの商魂故であろう。
 ◆しかし、ファンや歌手本人はどんな気持ちであろうか。歌手の母語すなわちアイデンティティが否定されたと感じないだろうか。異国への思いが削がれないだろうか。アートは「人」そのもので、AIが入り込む余地はないとアナログ派の声。
 ◆診療の場で、苦しみにある患者さんは、言葉を探し、時に正反対な表現に陥る。語気も揺れる。だからこそ、言葉の意義を肌で感じ、苦しみへの共感を得ることができる。もし、AIが整然とした文章に変えたなら、単なる記号であり、感性に届かない。診療はサイエンスであり、アートでありたい。(翔)