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府医ニュース
2025年12月3日 第3128号
政府の「骨太の方針2022」で、「かかりつけ医機能が発揮される制度整備を行う」ことが記載され、日本医師会は「地域における面としてのかかりつけ医機能――かかりつけ医機能が発揮される制度整備に向けて」を提言。2023年の日医定例記者会見において、日医は「かかりつけ医機能の制度整備にあたっての日本医師会の主な考え方」を発表。23年5月12日、全世代型社会保障法案が成立し、5月19日公布。24年7月、厚生労働省の分科会で議論の整理が行われ、25年4月同制度の施行となった。25年中にはG-MIS(医療機関等情報支援システム)が改修され、26年1~3月に医療機関による初回報告となる予定である。
06年に導入された医療機能情報提供制度は、病院などに対して医療機能に関する情報の都道府県知事への報告を義務付け、情報公開により患者・住民への医療機関選択の支援を目的とした。入院医療には14年の「病床機能報告」、さらに外来医療には病院・有床診療所に21年の「外来機能報告」(紹介受診重点医療機関の確認)、そして25年4月から病院・診療所の外来と在宅医療に「かかりつけ医機能報告」が義務付けられた。
その制度の趣旨は、複数の慢性疾患や医療と介護の複合ニーズを有することが多い高齢者のさらなる増加が見込まれる中、今まで行われてきた地域医療連携(つまり各科専門の診療所医師が、専門外や守備範囲外であればほかの医療機関へ患者を紹介することで地域医療を面で支えている)を充実させるために、すべての医療機関が外来医療機能を届けることで、国民や住民に対しては情報提供により医療機関選択の支援となり、また地域医療協議会においてはその地域で不足する医療機能を補うべく検討される。したがって、対象の医療機関は、特定機能病院や歯科医院以外のすべての病院・診療所で、耳鼻咽喉科や眼科などのいわゆるマイナーな診療科の医院も含まれる。
「かかりつけ医機能報告」は、すでに医療機関が定期報告を行っている「医療機能情報提供制度」に追加されるものである。「かかりつけ医機能」の定義は医療法第6条の3、「身近な地域における日常的な診療、疾病の予防のための措置、その他の医療の提供を行う機能」とある。そして、医療法第30条18の4、医療機関は「慢性の疾患を有する高齢者その他の継続的な医療を要する者」を支えるため、日常的な診療(1号機能)とともに必要に応じて時間外診療、入退院支援、在宅医療、介護連携、その他(2号機能)について、ほかの医療機関と連携を図りながら支えるよう努める。
英国の登録制の家庭医でなくても、かかりつけ医機能を発揮することで地域医療を面で支えることが可能であるという日医の提案であり、成功させなければならない。