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医師・医療関係者のみなさまへ

在宅療養者の重度化防止に係る研修会

府医ニュース

2025年12月3日 第3128号

口腔状況と身体機能の関わりを解説

 大阪府医師会は10月4日午後、「在宅療養者の重度化防止に係る研修会」を府医会館で開催。医療従事者や、在宅医療・介護に従事する多職種ら約150人が聴講した。

栄養摂取と運動の適切な組み合わせが重要

 はじめに、前川たかし理事があいさつ。高齢者にとって口腔の健康は、ADLの低下やフレイルの進行に関わると指摘。本研修会で、「リハビリテーション・口腔ケア・栄養管理」に対する包括的な考え方への理解が深まればと力を込めた。
 続いて、中祐次氏(府医介護・高齢者福祉委員会委員)が座長を務め、糸田昌隆氏(日本口腔ケア学会理事/大阪歯科大学医療保健学部口腔保健学科教授)が、「多職種協働によるリハビリ・口腔・栄養の一体的な取り組み」と題して講演した。まず、在宅療養者におけるリハビリ・口腔・栄養の相互関係を概説。三位一体で運用することによって、より効果的な自立支援・重度化予防につながっていくと述べた。栄養は動くことにより身につくとし、栄養摂取と運動を適切に組み合わせることの大切さを説いた。また、安静臥床は筋力や体力の低下につながり、特に高齢者は嚥下機能に影響を及ぼす危険性があると訴えた。
 フレイルにも注意を促し、口腔機能を整えることで重症化を防ぐと強調。咀嚼・発声機能の低下などを症状とするオーラルフレイルは、「身体的フレイル」「サルコペニア」「要介護認定」などのリスクを高めると解説した。さらに重症化対策として、共食を推奨。孤食の人ほどオーラルフレイルの割合が高く、他者との楽しい食事は、▽摂食・嚥下機能▽ADL▽口腔機能――を向上させるほか、栄養状況も良好になりやすいと伝えた。
 最後に、口腔ケアは「いかに綺麗にするかではなく、いかに汚染物を回収するかだ」とし、効果的なケアについてアドバイスした。