
TO DOCTOR
医師・医療関係者のみなさまへ

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府医ニュース
2025年12月3日 第3128号
大阪府医師会学校医部会(部会長=宮川松剛・府医副会長)は9月17日午後、令和7年度第2回学校保健講習会を開催。府医会館とウェブのハイブリッド形式で実施され、学校医・養護教諭など学校関係者ら約340人が受講した。
冒頭、森口久子・同部会副部会長(府医理事)があいさつ。本講習会を明日からの学校医活動や日常診療に役立ててほしいと期待を込めた。
次いで2題の講演に移り、まず杉原昭氏(同部会常任委員)を座長に、持田和伸氏(大阪皮膚科医会長/持田皮フ科院長)が「小中高生を悩ませる局所多汗症の最新治療」と題して講演。多汗症を局所性と全身性、原発性と続発性に分類した上で、原発性局所多汗症を中心に詳説した。同疾患は、原因となる基礎疾患がなく、手掌・足底・腋窩など限局した部位で日常生活に支障を来すほどの過剰な発汗を認めると説明。特に小中高生においては、学習や対人関係などにも大きな影響を及ぼすと憂慮した。
また、診断基準や自覚症状による重症度判定(HDSS)を紹介。治療アルゴリズムを基に、第一選択である塩化アンモニウム製剤のほか、近年保険収載された抗コリン外用薬などの効果や満足度を概説した。
続いて、黒川浩史氏(同部会副部会長)が座長を務め、森潤氏(大阪市立総合医療センター小児代謝内分泌・腎臓内科部長)が「思春期早発症の診断と治療:学校健診と医療機関との早期連携に向けて」をテーマに登壇した。思春期早発症とは、「通常よりも早く思春期が始まること」と定義し、評価・分類を提示。学校健診で成長曲線が用いられるようになり、医療機関の受診につながるケースも増加しているとした。多くの場合は原因不明の特発性であるが、脳腫瘍などの器質性疾患が存在する場合もあると強調した。
治療としては、GnRH療法を挙げ、安全性や副作用に言及。成長が早く始まるため身長の伸びが早く止まる可能性もあるが、特に女児では6歳未満に治療を開始することで最終身長の改善がみられるとした。加えて、最終身長は心理面の満足度にも相関するため、身長予測・治療効果を保護者や本人に丁寧に説明しながら治療していくことが大切と説いた。