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府医ニュース
2025年12月3日 第3128号
昭和38年、小企業従業員健康管理促進事業の開始を契機に、大阪府医師会内で労働衛生問題に関する議論が活発化して以降、産業医の組織化に向けた機運が高まり、50年2月に開催された第143回府医臨時代議員会において府医産業医部会の設置が承認された。同部会は今年で設立50周年を迎え、これを記念し10月25日午後、大阪市内で記念式典・講演会および祝賀会が挙行された。
当日は、後藤浩之・同部会常任理事(府医理事)が司会を務め、冒頭、加納康至・府医会長があいさつ。働き方の多様化が進む中、産業医の果たす役割はますます重要になると言明した。その上で、大阪における労働者の健康と安全を守るため、一層尽力するとして、引き続きの協力を呼びかけた。次いであいさつした阪本栄・同部会長(府医副会長)は、関係団体と協力関係を築きつつ、事業が展開できていることに感謝を示した。
続いて、同部会の発展に寄与してきた歴代府医会長や、在任10年以上の部会役員らに加納会長より感謝状が贈呈された。
来賓として祝辞を披露した松本吉郎・日本医師会長は、半世紀にわたる同部会の活動に敬意を表明するとともに、産業保健を取り巻く問題に言及。令和7年に改正された労働施策総合推進法においては、事業主に対し職場における治療と仕事の両立を図るための必要な措置を講じる努力義務が規定され、産業医が関わる場面が増加してくると見通した。今後は、これまで以上に地域に根差した産業医活動が求められるとし、日医としても産業医が現場で活動しやすくなるよう支援していくと強調した。そのほか、吉村洋文・大阪府知事(脇川智浩・大阪府健康医療部健康推進室長代読)、高橋秀誠・大阪労働局長、相澤好治・産業医学振興財団理事長、大西洋英・労働者健康安全機構理事長からそれぞれ祝辞が贈られた。
最後に、本出肇・同部会副部会長が謝辞を述べ、記念式典は閉会した。
引き続き、林朝茂・同部会副部会長の座長により、記念講演会が行われた。まず、「大阪府医師会産業医部会設立50年のあゆみ」と題して、圓藤吟史・同部会副部会長が登壇した。圓藤副部会長は、産業医の組織化に向けた取り組みから部会設立以降の経緯などを説述。7年現在、府医会員における日医認定産業医資格取得者は約5千人に上るとし、さらなる資質向上を目指した取り組みを活発化させていきたいと展望を語った。
次いで、「産業保健50年の節目に:現場の知見から見える未来像――日本方式の発展と課題」をテーマに、堀江正知氏(産業医科大学副学長)が講演。大正5年に工場法が施行されて以降、近年におけるストレスチェックの実施まで、我が国の健康管理の変遷を説示した。また、今後の課題として、小規模事業場における健康管理、個人情報保護の観点による健康情報の取り扱い、国際標準との整合性の確保などを概説した。