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府医ニュース
2025年11月26日 第3127号
あたたかな食事がうれしい季節となった。
第64回十四大都市医師会連絡協議会の特別講演「日本料理とは何か」を聴講した。特定非営利活動法人日本料理アカデミー名誉理事長、菊乃井三代目主人の村田吉弘氏による、「和食」がユネスコ無形文化遺産に選ばれた経緯やうま味やだしについて、分かりやすく学びの多いご講演だった。
いまや「うま味」はumami、「だし」はdashiと、国際的にも定着しているそうだ。そのうま味の発見者でもある池田菊苗氏は、湯豆腐に昆布を加えることで、甘味、塩味、酸味、苦味の4つの味では説明できない第5の味に気付き、1908年に昆布だしの主成分グルタミン酸にたどり着いた。それ以前の留学時、夏目漱石のロンドンの下宿に滞在していた頃、西洋人の体格の良さを目の当たりにし、日本人の栄養状態を憂慮、「佳良にして廉価なる調味料を作り出し滋養に富める粗食を美味ならしむること」との決意を熱く語る菊苗氏に触発され、当時研究に悩んでいた漱石の心に化学反応を起こしたと伝わる。「菊苗は味の素Rを、漱石は文学の素を発見した」と、のちに寺田寅彦が評している。
昆布のグルタミン酸に加え、鰹節や煮干しのイノシン酸、干し椎茸のグアニル酸が知られるが、例えば、昆布と鰹節、昆布と干し椎茸など複数を組み合わせると、単独より数倍うま味が増す相乗効果があるという報告がある。
うま味をじっくり感じながら、あたたかい味噌汁を味わいたい。
やや寒の
今日の始まる
お味噌汁
外山智恵子
(颯)