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医師・医療関係者のみなさまへ

調査委員会だよりNo.130

先発品(長期収載医薬品)の選定療養化について

府医ニュース

2025年11月5日 第3125号

 令和7年3月に行った会員意見調査において、先発品(長期収載医薬品)の選定療養化についての調査が行われた。
 その結果は、全体(n=1587)で、「国民への周知が不十分」44.9%、「患者への説明が煩雑である」43.7%、「対象の長期収載品薬剤が分かりにくい」34.7%、「今後の診療報酬改定で、後発品体制加算の廃止につなげる意図を感じる」24.1%、「将来的にどんどん選定化していき参照価格制度に移行しないか懸念がある」20.0%、「あまり問題になっていない」16.1%、「分からない(関与していない)」8.5%、「その他」4.7%であった。さらに、診療所長、病院長、勤務医、その他でも結果に差があまりみられず、業務種別と関係のない問題であることと思われた。その内容では、特に、「患者への説明が煩雑である」、「国民への周知が不十分への問題」が多く、患者自身への周知が不十分であることに対して、その対応に追われているといった現状が表れている。また、自由回答の内容からも、主として、明らかな医療費抑制策であること、煩雑な制度で分かりにくいことなど医療制度に関する内容もみられたが、患者からの苦情対応、医師からの説明を求められるなど、日々の診療の妨げになるといった内容が書かれていた。
 しかし、その一方で医療費削減のためやむを得ないという意見もみられた。このことからも、抑制的な内容の制度に関しては、我々医療者への周知のみならず、まず、国民に対しての周知徹底と、その理由が、今後の社会保障維持のために必要な制度であるということを、丁寧に、分かりやすく、かつ十分に国から説明することが、肝要ではないかと思われる。

文 多田 正知 (枚方市)