
TO DOCTOR
医師・医療関係者のみなさまへ

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府医ニュース
2025年11月5日 第3125号
布施医師会(平松久典会長)は9月13日午後、東大阪市内で「布施緩和ケア研修会」を開催。第37回となる今回は、「人生会議在宅医療研修会」と題し、医療・介護・福祉などに携わる約130人が来場した。
当日は、川邉正和氏(同医師会理事)と福村雄一氏(東大阪プロジェクト代表/司法書士)の司会で進行。川口俊氏(同医師会副会長)の開会あいさつに続き、基調講演では川邉氏が座長を務め、大坂巌氏(きせがわ病院医師)が登壇した。
大坂氏は「納得する生き方」をテーマに、自身の臨床経験や心筋梗塞で倒れた体験談を基に講演した。まず、「がん」「機能不全」「認知症・老衰」における死亡に至る経過の違いを解説し、備えることの必要性を説いた。次いで、自分自身と対話し、心の中で大切にしていることに気付くことができた時こそが真の傾聴と定義。ケアする側が自身の価値観で患者の考えを限定・否定せずに、十分に話を聴くことが不可欠だとアドバイスした。また、病気による苦しみが無数に点在していたとしても、病気と対話しながらその点を結んでいくことが現状の見え方を変えるきっかけになるとし、苦しみを単なる不幸で終わらせないよう訴えた。
さらに、楽な状況や楽しい状況を延ばす「延楽死」の考え方を紹介。何事も自分の力でやろうとする人は長生きできるとの論文報告に触れ、緩和ケアはその人らしく生きるためにあると伝えた。あわせて、心豊かに生きるために、▽あたえ▽あそび▽あまえ▽あやまり▽あきらめ――上手であることを推奨。自分の選択に後悔することがあるかもしれないが、せっかく選んだ道を正解にすることにも意味があるのではと結んだ。
大坂氏への質疑応答の後、川邉氏は、ケアする側である我々自身がACPをどのように考えているかについて向き合っていきたいとまとめた。
川口氏は閉会あいさつで、ACPにおいて「人は最期の時まで生きている」という視点で話すことも大切との考えを述べ締めくくった。