
TO DOCTOR
医師・医療関係者のみなさまへ

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府医ニュース
2025年10月29日 第3124号
河内医師会(佐堀彰彦会長)は布施医師会(平松久典会長)・枚岡医師会(森重人会長)との共催により8月30日午後、東大阪市内で「『もしも』のために。人生会議(ACP)始めませんか?」を開催。約160人の市民が参加した。
冒頭、佐堀・河内医師会長があいさつ。本シンポジウムが今後の医療・介護・健康について考える一助になればと期待を寄せた。続いて、野田義和・東大阪市長が、医師会をはじめとした医療関係団体の日頃の健康づくりや介護予防などの取り組みに謝意を示した。
まず、原聡・同医師会理事が「人生会議(ACP)って何なん?――皆さん知ってはりますか」と題して講演した。ACP(アドバンス・ケア・プランニング)とは、将来の治療やケアにおいて患者が「生を全う」できるように家族や医療者と話し合うことと前置き。患者の価値観・人生計画を知り、残りの人生をどのように生きるのか、患者自ら考える必要性を訴えた。一方で、▽スキルと知識▽意思決定の支援を担う医師▽多職種連携の実践――などの不足といったACP実施に当たっての課題点も挙げた。
次に、荒井玉美氏(河内医師会訪問看護ステーション看護部門主任)が、訪問看護師としてACPに携わり、患者と家族の希望を叶えることができた事例を紹介。訪問看護師はACPの支援者であり、意思や希望を尊重・実践するための調整役を担っているとし、今後も話し合いの場や機会を積極的に設けていきたいと力を込めた。
また、池永昌之氏(淀川キリスト教病院緩和医療内科主任部長)が「あなたを・もっと・知りたくて」をテーマに登壇した。人生の最終段階において、約7割の人は今後の治療やケアの方針を自分で決めたり、伝えたりすることが難しいと指摘。堅苦しく考えず、元気なうちから家族や周りの人に自分の意思を示しながら、場合によっては自身の意思を尊重し、代弁してくれる理解者を探しておくことも必要であるとした。
特別講演では、社会人落語家の天神亭きよ美氏が遺言をテーマにした創作落語「天国からの手紙」を披露。その後の講演では、ACPを自分の人生の最期についてきちんと向き合い、自分らしく悔いなく生きるための出発点にしてほしいと呼びかけた。また、本人の決めたことに正解や間違いはなく「自分」が決断することが大切だと語り、本講演がこれからの人生を考えるきっかけになればと締めくくった。