
TO DOCTOR
医師・医療関係者のみなさまへ

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府医ニュース
2025年10月29日 第3124号
式典後には、救急災害医療研修会を実施した。鍬方安行理事が座長を務め、宮川松剛副会長があいさつ。昨年、南海トラフ地震に関する臨時情報が発表された際には、発災時の情報伝達について見直すきっかけとなったと振り返り、迅速で的確な情報通信の大切さを指摘。本研修会が、より実効性のある体制構築の一助になればと期待を寄せた。
続いて、松田宏樹氏(国立健康危機管理研究機構DMAT事務局)が、「災害時の通信手段アップデート」と題して講演した。はじめに、災害時は相対的な需要過多により資源が不足すると前置き。対象を絞って優先順位をつけることで、限られた資源を効率的に運用できるとした。次いで、通信障害(停波)の本質として、▽基地局などの倒壊、ケーブルの切断▽通信機器の水没▽長時間停電による蓄電池などの枯渇――などを挙げ、過去の自然災害時における停波状況を説示。「情報を制することは災害を制する」と力を込めた。さらに、日航機墜落事故(1985年)以降の災害時における通信の変遷を辿った。その上で、複数の通信手段を確保してセーフティーネットを構築する重要性を主張し、インフラの状況に左右されない手段として、衛星を用いた機器を紹介した。最後に、保健・医療・福祉が融合して情報管理することの大切さに言及。ネットワーク接続による活動時に必要となる通信量などについて説明を加えた。