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府医ニュース

2025年10月15日 第3123号

 ◆大坂の堂島米市場では、現物ではなく米切手で売買する正米取引と、帳簿上で収穫前の米の売買価格を決めておく帳合米取引が行われていた。帳合米取引は世界で初めての先物取引として知られ、徳川吉宗は米価格安定のためこれを公認した。
 ◆この時代の先物取引では相場の価格差を「差也」と言われ、仕入れ値より売り値が低く損失が発生する「逆ザヤ」のサヤはこれに由来する。
 ◆泌尿器科領域では膀胱留置カテーテルによる尿管理は通常の外来診療である。しかし、カテーテルの仕入れ価格が高く、月1回のカテーテル交換の診療では、診療材料費に再診料や手技料を合わせても不採算となっており、以前より逆ザヤが常態化していた。
 ◆各診療科においても、昨今の物価高騰や円安で医療材料・機器の逆ザヤ問題が顕在化しており、病院や診療所の赤字経営の一因となっている。必要とされる医療に対する診療報酬の逆ザヤの放置などあり得ない。医療崩壊の予兆を見通して、次の診療報酬改定では逆ザヤ問題にも真剣に取り組むべきである。(誠)