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医師・医療関係者のみなさまへ

三師会全役員懇談会

府医ニュース

2025年10月1日 第3122号

澤副会長が医学のレジリエンスについて講演

 大阪府医師会、大阪府歯科医師会(深田拓司会長)、大阪府薬剤師会(乾英夫会長)の三師会は8月28日夕刻、大阪市内のホテルで全役員懇談会を開催。各団体の役員ら約90人が参集した。
 懇談会は、栗山隆信・府医理事の司会で開会。澤芳樹・同副会長が、自身が会頭を務める「日本医学会総会2027」のテーマでもある「医学のレジリエンス――みらいへの挑戦と貢献」について講演した。
 はじめに、江戸時代後期に開塾された適塾を源流に持つ大阪大学医学部の歩みを振り返り、自身が大阪大学心臓血管外科教授に就任以来、常に胸にあった言葉「凡人は努力すべし」を紹介。低侵襲化と重症心不全の治療の展開に尽力してきたとし、引き続き努力を重ねたいと語った。
 また、大阪・関西万博でも展示されている心筋シートに触れ、今後世界中で普及することを願っていると強調。iPS細胞の活用など再生医療が特に関西で盛んな背景には、山中伸弥・京都大学教授が積極的に情報交換を行い、皆で切磋琢磨してきたことがあると加えた。一方で、最先端を走ってきた日本の再生医療が、世界に追い越されつつあると危惧。製品として届ける際の社会実装の遅れが最大の課題だと指摘した。新しい科学が医療に用いられることが、医学のレジリエンスにつながるとの見解を示した。

人類は弱さを強みに変えて進化

 最後に、今回の講演のテーマでもある医学会総会のメインテーマに言及。人類は進化の中で弱さを強みに変えて生き抜いてきたと前置きし、本総会が、人生100年時代において困難をしなやかに乗り越える能力・回復力、すなわち医学のレジリエンスについて考えるきっかけや、今後起こり得るパンデミックについて議論する場になればと期待を寄せた。