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医師・医療関係者のみなさまへ

調査委員会だよりNo.129

ベースアップ評価料について

府医ニュース

2025年10月1日 第3122号

 本年3月に行ったインターネットによる会員意見調査において、ベースアップ評価料の算定状況について調査を実施した(図)。
 回答者は1587人で、算定済み・算定予定と回答したのは全体の41.5%(31.8%、9.7%)であった。男性では44.0%(33.9%、10.1%)、女性では25.9%(18.7%、7.2%)と性差が認められ、「制度が分からない」「関与していない」とする回答は全体で30.7%、男性27.7%に対し女性では49.3%と高かった。職種別にみると、診療所長(396件)では51.6%、病院長(16件)では71.1%が算定済・算定予定と回答し、病院での算定が多かった。年齢別では、30~39歳:31.9%、40~49歳:39.1%、50~59歳:43.4%、60~69歳:43.8%と、年齢とともに算定率がやや上昇する傾向がみられた。
 算定しない理由としては、「手続きが煩雑」(56.3%)が最多で、「制度に賛同できない」(31.7%)、「すでに賃金アップしている」(31.0%)が続いた。自由記載では、「患者負担への懸念」や「制度の継続性への不安」なども挙げられた。また、経営状況別にみると、「経営が厳しい」と回答した層の算定率は43.2%と、「順調」層:32.5%に比べ高い傾向にあり、経営状況が厳しいほど制度を積極的に活用している傾向がうかがえた。
 制度の簡素化は進んでいるものの、目的や具体的なメリットが伝わっておらず、申請や運用の煩雑さも依然として障壁となっている。今後は、制度の意義や効果を丁寧に周知し、成功事例の共有を通じて理解と活用を促進していくことが重要である。

文 和田 孝彦(堺市)