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医師・医療関係者のみなさまへ
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府医ニュース
2025年10月1日 第3122号
大阪府医師会は7月5日午後、令和7年度第2回周産期医療研修会を府医会館とウェブのハイブリッドで開催。当日は、医師や看護師、助産師など約200人が参加した。
冒頭、笠原幹司理事があいさつ。今回は「少子化」がテーマとし、日本の医療・経済と深く関わる社会的な大きな課題について見識を深めてほしいと語った。
当日は、小川哲氏(済生会吹田病院小児科兼新生児集中治療室科長)と陌間亮一氏(淀川キリスト教病院産婦人科部長/周産期母子医療センター長)が座長を務め、まず、加藤久和氏(明治大学副学長)が、「少子化の現状と経済社会への影響」と題して講演した。人口経済学を専門とする加藤氏は、「我が国の令和6年の出生数は初めて70万人を割り込み、合計特殊出生率も1.15と過去最低を記録するなど少子化に歯止めがかかっていない」と前置き。その要因として、①結婚行動の変化(晩婚化)②社会経済の環境変化――を挙げ、それぞれに解説を加えた。その上で、日本経済・社会を持続するために少子化対策は必須であり、「即効性より持続可能性の視点が重要」と述べる一方、労働力不足などの問題は少子化対策だけでは解決しないと言明。移民などの受け入れも考えていく必要があるとの考えを示した。
次に、鈴木俊治氏(日本医科大学女性診療科・産科〈産婦人科〉主任教授)が、「少子化時代に無痛分娩を考える」をテーマに登壇。鈴木氏は無痛分娩について、妊娠率の上昇や多産による少子化対策の一翼を担う可能性があるが、結婚自体を回避する傾向がある日本においては、特有の価値観や政策に変化がなければ、少子高齢化傾向が改善する見込みはないことが指摘されていると言及した。また、東京都では7年10月から硬膜外無痛分娩に最大10万円の助成をする方針と報告。東京都では約60%の妊婦が無痛分娩を希望しているとのデータを提示し、無痛分娩の推進が少子化対策につながることに期待を寄せるとともに、医療者は分娩の安全性のさらなる向上に努めていかなければならないと締めくくった。