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府医ニュース
2025年9月17日 第3120号
大阪府医師会は7月19日午後、ATCエイジレスセンターと共催で「第161回エイジレス健康講座」を開催。瀬浦敏志氏(大阪精神科診療所協会員/北浜クリニック院長)が、「うつと不安の話」と題して講演し、近隣住民など約30人が聴講した。
瀬浦氏はまず、精神疾患を有する患者の入院・外来数の推移を疾患別に報告。入院患者は減少しているものの、外来患者は一貫して増加傾向にあると指摘した。特に外来患者で最も多いうつ病などの気分障害は、生産的・経済的に大きな損失をもたらすため、国が施策を講じる必要性があると訴えた。
次いで、▽うつ病▽適応障害▽双極性障害▽パニック障害▽社交不安障害――について架空の症例を基に解説した。中でも、うつ病は脳の疲労が主な原因であり、決して本人の気の持ちようや心の弱さのせいではないと言明。適切な治療や環境の整備により寛解に至ると力を込めた。
高齢者がうつ病や不安障害になりやすい要因として、▽健康や身体の自由を失う▽子どもが自立し親としての役割が終わる▽近親者の死――などといった喪失体験があるとの見解を示した。喪失体験の受け入れが難しく落ち込んだ状態が長引く場合は、早めに医療機関を受診してほしいと呼びかけた。
最後に、うつ病の予防・再発対策として「認知行動療法」を紹介。自身に起こった状況を、①認知②感情③身体反応④行動――の4つの要素から自己分析し、考え方の幅を広げたり、肯定的に捉えたりすることで、感情や身体反応を穏やかに保つ精神療法であるが、うつ病の症状が重い場合は行わないよう注意を促した。瀬浦氏は、悩みや否定的な感情は、一人で抱え込まず、人との関わりを持ち続けてほしいと締めくくった。