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医師・医療関係者のみなさまへ

在宅医療における連携の拠点および積極的医療機関の取組促進に係る研修会

府医ニュース

2025年9月17日 第3120号

他圏域の拠点などと取り組みを共有

 大阪府医師会は7月31日午後、第1回「在宅医療における連携の拠点および積極的医療機関の取組促進に係る研修会」を府医会館で開催。当日は、連携の拠点および積極的医療機関を含む府内医療機関に勤務する医師・実務担当者など約200人が受講した。

 座長は宮川松剛副会長と前川たかし理事が務め、宮川副会長が開会あいさつで、2040年を見据えた「新たな地域医療構想」の策定に向け、需要が高まる在宅医療の対応強化に言及。第8次医療計画に位置付けられた「在宅医療に必要な連携を担う拠点(以下、拠点)」を中心に、「在宅医療において積極的役割を担う医療機関(以下、積極的医療機関)」などの医療機関や介護関係機関が連携・協力し、地域に応じた在宅医療提供体制の構築を進めると説示した。その上で、本研修会が、他圏域の好事例を共有する機会になればと期待を寄せた。
 引き続き、宮川副会長が「第8次大阪府医療計画における在宅医療の推進体制について」と題し、在宅医療に係る改正のポイントを提示。拠点は「司令塔」、積極的医療機関などは「活動の実施」のイメージとなる。拠点は市区町村と業務分割も可能で、「24時間急変時対応可能な体制構築」が最も重要な業務と述べた。

東成区医師会が主導 地域全体で支える

 各地域からの事例報告では、「大阪市東成区の取り組み状況」と題し、黒田和子氏(同区在宅医療・介護連携相談支援室)と世古美弥子氏(同区役所保健福祉課長)が発表。平成23年の在宅・地域医療連携室の開設以来、同区医師会が主導してきた多職種連携会や機能強化型体制の構築などを詳説した。令和元年度には、同区の高齢者施策会議の実施体制を見直し、複合的な課題を抱えるケースの「総合的な支援調整の場」を設置。拠点開始に当たり、6年度から区の拠点コア会議や在宅医療拠点会議のほか、▽全積極的医療機関のICT導入▽非常用電源の確保▽地域の要援護者数の把握――などに注力しているとした。24時間体制の整備では、在宅看取りや意思に沿わない救急搬送を課題に挙げ、消防署との情報交換などの必要性を示した。最後に、在宅医療拠点事業は、在宅医療・介護連携推進事業との連携が不可欠であり、今まで培われてきた多職種連携の下での取り組みが重要と強調。今後も東成区全体で地域完結型医療・介護体制を推進すると力を込めた。

「豊中モデル」を中心に医師会と行政が協力

 続いて、「豊中市における取り組み状況」について、三木正士氏(同市医師会副会長)・井上恵実氏(同市医師会在宅医療・介護コーディネーター)・高森晃世氏(同市保健所医療支援課地域医療推進係)が講演。同市が取り組む拠点事業の内容として、6年10月発足の在宅医療連携会議や多職種連携会の実施状況を概説した。また、拠点となる在宅医グループの医師と、それを支える他科診療所の医師・多職種・サブアキュート病床を持つ医療機関で構成する「豊中モデル」を紹介。同モデルを中心に、①日常療養時の体制②急性憎悪時のバックアップ体制③在宅復帰時の退院支援体制④通院困難時など新規患者の受け入れ体制――の構築を目指していると伝えた。さらに、保健所が担う共同拠点の役割にも触れ、医師会と行政が協力することでより実態に即した在宅医療体制の構築が可能になると加えた。
 その後、事例報告を行った演者らが壇上に並び、「各圏域における在宅医療提供体制の構築」をテーマに全体討論を実施。フロアも交えて活発な意見交換が行われた。