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府医ニュース
2025年9月3日 第3119号
大阪府耳鼻咽喉科医会(有賀秀治会長)と日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会大阪府地方部会(猪原秀典部会長)主催による「第4回市民公開講座」が6月29日午後、大阪市内で開催された。今回は「くちのがん見逃さないでそのサイン」をテーマに、約220人の府民が参加した。
冒頭、猪原氏があいさつ。7月27日の「世界頭頸部がんの日」に合わせて啓発活動を行っていると紹介し、本講演会で口腔がんに関する知識を深めてほしいと呼びかけた。
講演では、まず、「口とのどの仕組みと、頭頸部がん」と題して、音在信治氏(大阪府耳鼻咽喉科医会理事)が登壇した。音在氏は、頭頸部(鎖骨の上から頭までの目と脳を除く)領域は耳鼻咽喉科が診療を担っていると述べ、口や喉、鼻の機能や仕組みを説示。それぞれの部位にできるがんに解説を加えた。また、口や喉は会話や食事など重要な役割を担っており、早期発見・早期治療が極めて大切と説いた。
続いて、萩森伸一氏(大阪医科薬科大学耳鼻咽喉科・頭頸部外科教授)が、「口とのどのがん――見逃さないためのセルフチェック」について講演。口腔がんの半数以上が舌がんであり、特に舌縁に多く、舌背に生じることは少ないと言及した。さらに、白板症や扁平苔癬は前がん病変であり注意が必要だと強調。また、口腔がんと咽頭・喉頭がんともに、喫煙や飲酒が誘因となり、咽頭がんは疼痛や違和感、含み声、喉頭がんには声がれが生じると指摘した。
最後に、「口腔がん治療を経験して『わたし、そんなにつらい思いしていません』」と題して、口腔がんを経験し、舌を半分切除した元がん患者が登壇。主治医であった寺田哲也氏(大阪医科薬科大学耳鼻咽喉科・頭頸部外科専門教授)がコーディネーターを務め、がん発覚の際や治療中の思いを引き出した。
閉会に際し、有賀・同医会長があいさつ。大阪市中央急病診療所では、同医会員が365日出務し、休日夜間の救急診療を担っていると述べ、緊急時の利用を促した。