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大阪府内科医会主催

府医ニュース

2025年9月3日 第3119号

「内科の日」記念特別講演会を開催

 大阪府内科医会(泉岡利雄会長)は7月12日午後、大阪市内で「内科の日」記念特別講演会を開催した。「内科の日」(7月1日)は、内科医療の重要性を広く啓発し、国民の健康意識を向上させることを目的に、昨年、日本臨床内科医会と日本内科学会の共同で制定された。本講演会は、こうした取り組みを広く周知するために企画され、「メンタルヘルス」をテーマに実施。会場とウェブをあわせて約120人が聴講した。
 講演に先立ち催されたセレモニーでは、泉岡・同医会長が開会あいさつ。「内科の日」の制定に合わせて、7月を内科月間と定め、全国で啓発活動が行われていると明かし、今後は、日本臨床内科医会や日本内科学会との連携強化を図りたいと力を込めた。続いて、福田正博・日本臨床内科医会副会長は、若い世代にも内科医療へ興味を持ってもらう機会になればと期待を寄せた。来賓あいさつでは、加納康至・大阪府医師会長が登壇。近年は地域医療のあらゆる場面で内科の重要性が高まっており、かかりつけ医を持つことの大切さが再認識されていると説示した。猪阪善隆・日本内科学会近畿支部代表(大阪大学医学部腎臓内科学教授)は、年々増加する慢性腎臓病(CKD)を含む多くの疾患の早期診断・治療には、かかりつけ医の協力が必要と訴え、同会とより密接な関係を築いていきたいと語った。
 講演会では、柳生隆一郎・同医会理事による「かかりつけ医における医療DXに関する実態調査」報告の後、2題の講演が行われた。まず、西山順滋氏(関西医科大学心療内科学講座講師/総合診療科長)が「患者の訴えは〝気のせい〟? それとも〝機能性〟?――メンタルヘルス不調による身体症状を考える」と題して講演。心と身体の関係として、①脳腸相関②心身相関――を示し、ストレス・不規則な生活・過度の不安や緊張により自律神経系の乱れが生じ、様々な症状が現れると解説した。また、不定愁訴の呼称の一つとして、「機能性身体症候群(FSS)」に言及。診療の際は患者の主観的な症状に寄り添い、患者評価と段階的ケアを行うよう促した。さらに、患者の訴えを「気のせい」と思った時には、「機能性」を意識してほしいと加えた。
 次いで、杉本圭相・府医理事(近畿大学医学部小児科学教室主任教授)が「大学病院における思春期のこどもたちへの対応と課題」について詳説。小・中学校の不登校児童生徒数の増加傾向に触れ、虐待・ネグレクト・家庭の機能不全など逆境的小児期体験(ACEs)が将来の心身の健康リスクを高めると注意喚起した。子どもの心身症には、心理的社会的要因が関与しており、発達・行動上の問題や精神症状を伴うこともあると指摘。診察・対応のポイントを紹介した。結びに、不定愁訴のある子どもの対応には時間と根気を要するが、「皆で見守ってあげてほしい」と伝えた。