
TO DOCTOR
医師・医療関係者のみなさまへ
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府医ニュース
2025年9月3日 第3119号
◆蝉時雨の中、子らの声が楽しい8月。鎮魂の時季でもある。冷酷な戦禍、広島・長崎での被爆。断えることなく語り継がれてきた。平和の願いを子らに。
◆惨禍を体験した人々の多くが他界され、実相を直接聞く機会が減っている。VRによる体験の継承が試まれている。VRは視聴覚情報を感覚的に得る実体験さながらの没入感がある。浸りやすい。それ故、VRで聞いた人は「そうだったのですね……」に止まる。
◆対面で直接聞けた人は、貴重な体験を得たというだけでなく、ぜひ他の人にも伝えたいという。人を揺り動かすには、声を詰まらせる、視線を揺らす、身を乗り出すといった互いの感情・感性の交換が鍵なのであろう。
◆精神科リハビリにあって、他者とのコミュニケーション技術を高める体験は必須である。ここでも、VRによる疑似面接の導入が見られる。人との対面を苦手とする方には、入口とはなり得る。しかし、あくまで人との直接の対話を目指すべきだろう。互いの感情・感性を感じてこそ一歩踏み出せる。(翔)