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府医ニュース
2025年9月3日 第3119号
2025年現在、団塊世代(1947~49年生まれ)が75歳以上となり、総人口1億2330万人のうち65歳以上の高齢者人口は3677万人で全体の約30%を占める超高齢社会である。2040年は、総人口1億1284万人にまで減少し、65歳以上人口は3929万人で全体の約35%になるとの推計である。リクルートワークス研究所が発表したデータでは、20年には約7509万人だった「15~64歳の人口」が40年には約5978万人にまで減少すると予測されている。30年には約341万人、40年には約1100万人の労働力不足に陥ると推計されている。労働力不足について、「介護サービス」は需要229.7万人に対し、供給171.7万人で不足率は25.3%で最も大きい。「商品販売」は需要438.5万人に対し、供給329.7万人で不足率24.8%。「輸送・機械運転・運搬」は需要413.2万人に対し、供給313.4万人で不足率24.2%。そして「保健医療専門職」は需要467.6万人に対して、供給386.0万人で不足率17.5%である。25年は高齢者人口増加の「過渡期」で、40年に「ピーク」になるとされている。
以上のような労働者人口の減少、高齢者人口の増加により、40年は「社会保障制度をどのように維持するか」が大きな問題となる。労働者不足対策として、外国人労働者の雇用を増やす政策、医療DXの推進、AIの活用、ロボットの活用などが必要である。某政党が主張する排外主義的な政策では、将来の日本社会は機能していかない。
以上のような人口推移から、社会保障負担については、25年は現役世代2人で1人の高齢者を支え、40年は現役世代1.5人で1人の高齢者を支えることになる。つまり、社会保障給付(サービス)を今のレベルで維持するとなると、40年の現役世代の社会保障費負担は、現在より約1.4倍に増えることになる。仮に所得も現在より1.4倍以上増えれば、現役世代の社会保険料の負担感は現在のままか、軽減されると思われる。今夏の参議院議員選挙で某政党は、社会保険料負担を減らして、給付(サービス)のレベルや範囲を減らす政策を訴えていたが、個人の所得により医療格差が生まれ、健康格差につながることを国民がどれだけ理解しているか疑問である。
今から40年に向けて、社会保障の給付(サービス)と負担について、国民的な議論が必要である。その財源をどうするか真剣に取り組まなければならない。